『HTF』〜恋の周波数 part1〜

17.　後戻りできない ページ18

？「…どうして無視するの？」

無視してるわけじゃ…ないけど…。

相変わらず瞬きをしない視線が私を見つめている。
気まずさからか、罪悪感からか、恐怖からか視線をそらしながら答えた。


グイッ


!!??


吐息がかかるくらい近くに、強引に顔を近づけられる。
わずか数センチで唇が触れるくらいの距離。

？「どうして…僕を見てくれないの？こんなにも…近くにいるのに。」

冷や汗が吹き出る。
目の前の引きつった笑顔に本能で危ないと感じる。
抵抗しようと足掻こうとするが、動かない体。

ちょ…やめ……！

しかも顔がゆっくりと近づいてくる。
年下なのに色っぽい表情に思わず頬を染めてしまった。

？「どうしたの？頬が赤いよ？」

今度は耳元でボソと呟かれる。
吐息が耳に刺激を与えて、頬の赤みが増して行ってしまう。
ちくしょー…体さえ動けば…。

もうすっかり、機嫌を良くしたようで私で遊び出す。
どうやら、顔が赤くなった事で気分が良くなったらしい。
ニコリと微笑みながら、顔を近づけてくる。

？「ほんと…顔染めるなんて、いやらしいね。」

……。


イラッ


……に…る……


？「ん？なんか言った？」


調子に…………………


乗るなあああああああああああああ！！！


ペッ


？「う…え………。」

　説明しましょう。
　顔が近づいてきて唇が触れる数ミリの時、イラッときた私はツバを履きました。イエイ！

ざまあwwwざまあwww
年下なのに私で遊ぶなんて、ませてるんじゃあ。このフニャチン野郎！！！！

ぐ、グハハハッハハハハハッハハハハハハハハハハハハハッハ！
最高だぜ！仕返しって！！

ヒーヒッヒヒヒイヒヒヒッヒイヒヒヒヒヒヒヒヒヒイッヒ！
ぐーっふふふふふううふふっふっふふふふふふふっふううふ！！
ん〜にゃははははっはやあははははっはっははははっはは！！！！！
ゲヘゲヘゲヘゲヘゲヘっ…ゴホっ、ゲヘッ、オベベベッベエベ…。

…あー、笑った笑った。チョー気分いいわあ。

＿＿その時私は気づいていなかった。
ツバを吐きかけられた顔で、鋭く睨んでいたことに。


→続く

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