二輪 ページ3
「……うん」
いや、成功していたらいたで大問題なんだけれども。
私は頷きを返しながら、ふと気になって尋ねる。
「っ……コホ……っ、そーくん、もう今日からお仕事するの?」
「あ?あー……」
そーくんは「面倒だ」とでも言いたげに溜息をつき、言った。
「近藤さんにはもうちょいと休んでて良いとは言われたが……いつまでも休んでたら隊士に面目がつかねぇしな。
それに、土方さんも復帰するっつってるし。
報告書やらなんやらがたまっても面倒臭ェし……」
「……そっか」
(そーくんは、責任感があるんだな)
真選組の一番隊隊長ともなれば、かなりの地位なんだろう。
何かと理由をつけながら仕事に復帰しようとしているのを見る限り、その地位に就いていることを、凄く重く受け止めてるんだろうな、ということが伝わってきた。
(……そういえば)
「ちょっとごめんね、そーくん」
「は?……っ」
私はそーくんの顔に近づき、湿布が貼られていた箇所を見る。
(……良かった、あとは残ってないみたい)
私が安堵の息をつくと、そーくんは「近ェ」と言って私の肩を押す。
「ぁ……っ、ごめん」
離れて見ると、そーくんの頰はほんのりと紅くて、それを見た私の体温も上昇していく。
(すっかり、ミツバ姉と同じ感覚で接してた……!)
相手はもう18歳の男の子なんだと意識すると、更に恥ずかしさが増す。
「いきなり何すんでィ」
まだ少し紅いそーくんに訊かれ、私は答える。
「……前、そこ怪我してたみたいだったから……。
怪我のあと、残ってないかなって……」
「あぁ……」
そーくんは納得したように声をこぼすと言った。
「残ってねェし、気にしたこともねェな、んなこと。
男は女みたいに怪我のあとがどうとか気にしねェんでね」
「……そう、だよね」
確かにそうだ。
大体、怪我のあとがどうとか一々言っていたら、真選組では働けないよね。
「ほら、食い終わったんなら寝てな。
風邪悪化するぜ?」
「あ……そうだね」
私の言葉っきり、私の咳の音のみが響いていた空間で、いきなり言葉を発したそーくんに、話をしながら食べ終えたお粥のお皿を手渡す。
「ありがとう」
「ん」
そーくんは簡単に返事を返すと、お盆を持って立ち上がる。
「じゃあな」
「うん、お仕事頑張ってね」
そーくんはその言葉に気怠げな返事を返し、部屋を出ていった。
(…早く治したいな)
そう思った私は、再び布団の中に入り、眠る為に再び目を閉じた。
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赤羽@美羽(プロフ) - あやさん» いつも読んでくださりありがとうございます!そういうことを言っていただけると、とても嬉しいです!創作意欲につながります!更新頑張ります! (2019年6月20日 7時) (レス) id: 8b3b438a89 (このIDを非表示/違反報告)
あや(プロフ) - お久しぶりです!更新ありがとうございます!いつも楽しく読ませていただいてます。土方さんと一緒にいる主人公ちゃんを見て怒る沖田さん。主人公ちゃんに優しい沖田さん好きなのでこれからも楽しみです! (2019年6月19日 19時) (レス) id: 98522d48ea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:赤羽@美羽 | 作成日時:2019年3月28日 16時