二十六輪 ページ28
「ほら、食べ過ぎんなよ。
痔にさわるぞ」
そう言って坂田さんは袋をミツバ姉のベッドの上に置く。
「貴方、私が痔で昏倒したと思ってるんですか」
少し冗談めかして言ったミツバ姉の隣に椅子を二人分用意し、坂田さんに座るように促す。
「おー、ありがとな」
そう言った坂田さんは、ベッドの脇にあったフルーツバスケットの中からバナナを取り出した。
「あれ?ミツバ姉。これって……」
「あぁ、これ?」
そう言って私が指し示したフルーツの山を見て、ミツバ姉は言った。
「当馬さんが持ってきてくれたの」
「蔵場さんが……」
会話をしている私たちを横目にバナナを剥き始めた坂田さんは、ベッドの下に向かって言った。
「おい、お前もどうだ。
バナナとかもあンぞ」
「いえ、結構です。
隠密活動の時には、常にソーセージを携帯しているので」
その声とともにベッドの下から出てきた腕に、私は「ひぇ」と声を出してしまう。
驚いて動けない私を置いて、ミツバ姉と坂田さんはベッドの下を覗き込む。
「あら?山崎さん?何でこんなところに……」
「しまったアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!」
その叫び声とともに、ガタッ、という、頭を打ち付けたような音がして、私は焦る。
「大丈夫ですか……!?」
慌ててベッドの下を覗き込むと、
「何でお前がいるんだよ!」
と、坂田さんが山崎さんを足で攻撃しているのが見えた。
放っておいて良いものなのか悩んだ私だったけれど、ミツバ姉が放っておいたので、私も放っておくことにした。
その後、看護師さんがミツバ姉の様子を見にきたので、坂田さん達と一緒に病室を後にする。
病室を出る間際に、「これ、Aちゃんも食べる?」と渡された激辛煎餅を開けながら、私は坂田さん達と並んで歩く。
「……お前さ、それ、辛くないの?」
「いえ?美味しいですが……」
食べますか?と袋を差し出すも、「いや……」と苦い顔をして断られた。
そういえば、甘党って言ってたっけ。なら、食べないよね。
坂田さんは私が食べている激辛煎餅を苦い顔で見続けながら、山崎さん?に問う。
「……で?お前は何であそこにいた訳?」
「あぁ、えっと……それは……」
ふと視線を感じて顔をあげると、山崎さんがチラチラと私を見ていた。
私が聞いたらマズい話しなのかな。
そう思った私は移動しようとした。
「あの、私、移動しますね」
47人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あや(プロフ) - 赤羽@美羽さん» 受験お疲れ様でした! (2019年3月1日 0時) (レス) id: a0e0346a06 (このIDを非表示/違反報告)
赤羽@美羽(プロフ) - あやさん» ありがとうございます!受験が終わりましたので、どんどん更新していきたいと思います! (2019年2月28日 19時) (レス) id: 8b3b438a89 (このIDを非表示/違反報告)
あや(プロフ) - 赤羽@美羽さん» お忙しい中更新ありがとうございます!受験頑張ってください!これからも楽しく読ませていただきます。 (2019年2月11日 19時) (レス) id: a0e0346a06 (このIDを非表示/違反報告)
赤羽@美羽(プロフ) - あやさん» コメントありがとうございます!もうすぐで受験が終わるので、そうしたらもっとテンポよく更新できるようになると思います!これからも読んでいただけると嬉しいです! (2019年2月11日 16時) (レス) id: 8b3b438a89 (このIDを非表示/違反報告)
あや(プロフ) - 初めまして。沖田さんが好きで読ませていただいています。更新ありがとうございます。ミツバ篇好きな話なので、これから主人公ちゃんもどうなるか楽しみです! (2019年2月10日 12時) (レス) id: a0e0346a06 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:赤羽@美羽 | 作成日時:2018年11月18日 2時