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*加州清光サイド*

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翌日の朝のことだった。


「小夜左文字様?一体何をしていらっしゃるのですか?」

小夜「釣り。」



なんだか小夜が変なことをしている。

少し前から池で釣りをしているというのだ。

ちなみに魚はいない。
女も不審に思っているようで池の中を覗き込んだりしている。



「うーん………釣れないと思うのですが………。」

小夜「大物の予感がするんだ。」



清光「ちょっと、また洗濯物落としてたよ。あと、危ないから。落ちるよ。」

「わっ、ご、ごめんなさい、ありがとうございます。」




手拭いを手渡し小夜を見やる。






清光「…何してんの小夜。」

小夜「釣りだよ。」

清光「魚はいないけど?」

小夜「心の綺麗な人にしか見えないんだ。」

清光「よく言うよ。」




池の中を覗き込んだ。


確かに、魚『は』いなかった。





清光「アンタ、いつまでここにいるの。あっち行って。」

「す、すみません…失礼致します。」




しっしっと女を手で追いやり小夜に向き直った。



小夜とはこの本丸が出来てからの仲…つまりは初期刀と初鍛刀の関係である。


だからこそ、人一倍お互いのことは分かっているのだ。




清光「小夜、俺に言いたいことあるんでしょ?」

小夜「別に。」

清光「…どいて。」





小夜を押しのけ上着を脱ぎ捨てた。
彼のやろうとしていたことはもうわかった。



清光「あー、さむっ。」

小夜「え、ちょっ






池の水が激しく揺らぎ、バシャンッと盛大な音が鳴った。





清光「ほら、これだろ。」




小夜が釣りと称して池の底から取ろうとしていたのは赤いマニキュアの瓶だった。
その瓶は今、俺の手の中で太陽の光を受けて煌めいている。



水音を聞いて出てきた女が呆然とこちらを見ている。

「かっ、加州清光様?!!!??」

清光「だーからあっち行ってろって言ったでしょ。」


池から上がり、水の滴る髪をかきあげる。




小夜「……捨てたって言ってたけど…やっぱりそのままにしておけなくて…。」


清光「……さすがに釣れないだろう。」



クスクスと笑うと小夜もそうだね、と言って笑った。


久しぶりに笑った気がする。



清光「ほら、何ぼーっとしてんの。早く塗ってよ。」




女はマニキュアの瓶を見つめ、すぐに笑顔になった。




「はい、かしこまりました。」




秋の風は何だか寒くなかった気がした。

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*加州清光サイド…end*

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オーキッド(プロフ) - 輝さん» コメントありがとうございます。もちろん乱は男ですが姉さんと呼ぶ方が乱は喜ぶという設定です。あまり気づいてくださる方がいないのでこのようなコメントは嬉しいです。ありがとうございます。 (2018年7月23日 9時) (レス) id: 500cf8b735 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 31話で五虎退が乱を"乱姉"と呼んでいましたが乱は男なので乱兄では? (2018年7月11日 13時) (レス) id: 7ffc6db072 (このIDを非表示/違反報告)
オーキッド(プロフ) - はにーまかろんさん» はにーまかろん様、いつもコメントありがとうございます。刀剣達はまだ全面的に主人公が好きという感情を表に出したくないので刀剣:不器用かつ意地悪vs主人公:気弱、な争い(?)が起こっていく感じですね。これからも宜しくお願いします。 (2016年6月26日 18時) (レス) id: ac6634c0b5 (このIDを非表示/違反報告)
はにーまかろん(プロフ) - 天下五剣の冷笑は暑い夏にぴったりですね!とまあ冗談はさておき、最新話読ませていただきました。お、これは主人公ちゃんへの独占欲が出ているのか!?刀剣男士の反応の意味を1人1人想像しながら楽しく読んでいます。長文&乱文失礼致しました。 (2016年6月26日 18時) (レス) id: 578cdfafe4 (このIDを非表示/違反報告)
オーキッド(プロフ) - (aya*)W.H)さん» ありがとうございます。どちらのシリーズでも少し重い話が入ります。これからもよろしくお願い致します。 (2016年6月15日 7時) (レス) id: ac6634c0b5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:オーキッド | 作成日時:2016年5月26日 6時

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