track8 ページ9
翌日の夕刻。
Aは再び萬屋ヤマダを訪れていた。
一郎の聞き込み結果と、入手した監視カメラの映像を見比べても人の良さそうな女と仮定した人物を特定するところまではいかなかった。
「……さすがに分からないものね。」
一郎「あぁ。情報が少なすぎるな…。A、この後少し待ってられるか？」
「別に時間はあるけど…何か別の調査？」
一郎「いや、依頼人が顔を出してくれることになってんだ。もう少し思い出せることがないか聞こうと思って。」
「その横でそれらしい人物の映像を探し出してほしいってわけね。」
その通りと頷きながら一郎がコーヒーを一口飲んだ。
一郎「ありがとな。多分くるのは……6時…いや……どうなんだろうな……。」
「いつ来るって言われてないの？」
一郎「一応6時、過ぎても7時を目指すと言われたんだが…なんていうか、会社がブラック気質で退社時刻が不定期らしい。」
「…あと30分で6時だけどその時間に来るとは限らないわけね。私は何時でも構わないからいいわよ。」
一郎「助かるよ。飲み物適当にとっていいから寛いでいてくれ。」
一郎の言葉に甘えて紅茶を頂こうと腰を上げると事務所の扉がゆっくりと開いた。
「あら、一郎くんお客さんよ。」
一郎「え？さ、三郎？！どうしたんだ？」
三郎「いちにい！」
一郎によく似た少年がひょこっと顔を出す。
彼は一郎の弟の1人、山田三郎だ。時折仕事の打ち合わせ時に三郎は事務所に訪れ顔を出してくれた。
三郎「あっ、Aさん！お久しぶりです、ジュースのお礼言いたくて……。」
「お久しぶり、三郎くん。わざわざありがとう、美味しかった？」
三郎「はい！いつも僕たちのためにすみません…。」
シュンと申し訳なさそうな顔をする彼に思わず笑みが漏れる。
「いいのよ。…相変わらず可愛らしい弟君ね。」
一郎「三郎〜、ほんとはAに会いたかったんだろ〜？？こいつ他の人にはつっけんどんな癖にAには慣れてんだよな。」
三郎「い、いちにい！違いますよ僕はただお礼を…。」
ブンブンと首を振る三郎を一郎が面白そうに笑って見つめる。
三郎「すみません、折角会えたのに僕もう帰らないと…。夕飯当番なんです。」
「そう、えらいのね。また会いに来てね。」
三郎「は、はい！」
三郎が嬉しそうに笑い、じゃあまたと足早に事務所を出て行った。
黄昏時の橙色の光が煌々と窓から差し込んだ。
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千(プロフ) - オーキッドさんなりのこだわりが感じられ中々定まらないのはそれだけオーキッドさんの小説への思いからだと思います。生意気な事書いてすみません。でもそれだけ大切なんだと私は思いました。感想だけで申し訳ありません (2019年5月20日 21時) (
レス) id: aa8fcb4cab (このIDを非表示/違反報告)
千(プロフ) - こちらこそ温かいコメントありがとうございます。無理せず更新頑張って下さい。楽しみにしてます。又こちらこそよろしくお願いします。夜遅くに失礼致しました (2019年5月19日 23時) (レス) id: aa8fcb4cab (このIDを非表示/違反報告)
オーキッド(プロフ) - 千さん» コメントありがとうございます、お優しい言葉かけに感謝いたします。これからもよろしくお願いいたします。 (2019年5月7日 15時) (レス) id: 500cf8b735 (このIDを非表示/違反報告)
千(プロフ) - この後凄く気になります。楽しみしています。無理しないでくださいね。更新楽しみに待ってます。 (2019年5月6日 23時) (レス) id: aa8fcb4cab (このIDを非表示/違反報告)
オーキッド(プロフ) - 夜桜 奏さん» コメントありがとうございます。素敵なお話だなんて嬉しいお言葉、感謝いたします。これからもよろしくお願いいたします。 (2019年5月6日 23時) (レス) id: 500cf8b735 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：オーキッド
| 作成日時：2018年12月2日 23時
