#思惑のコンプリケーション−001− ページ38
・
【轟side】
「神立、どうだった？」
Aの病室を出ると、切島が駆け寄ってきた。
「……思ってたより、元気そうだった」
病室に入った時は何をしてたのかは分からなかったけど、話して、心底ホッとした。
�爐�つ、き、は……？ 無事、なんだよね？��
あの時のAの声が、表情が、震えが、ずっと頭に焼き付いていた。
遠くを見つめる瞳が、記憶の中の母と重なった。どうしようもない罪悪感に駆られた。
このまま、Aが壊れちまったら。
いや、違う。
Aの瞳が、俺のことを映してくれなくなったら。
そんなことばかり考えちまい、……加えて、緑谷が目覚めていないことも気がかりで、居ても立ってもいられず、ここまで来ちまった。
「それで、例の件のことは……」
「いや……悪ぃ、言ってねえ」
例の件というのは、八百万が敵に仕込んだ発信器を辿り、爆豪を救出しに行くこと。偶然 切島と会い、八百万が警察と話しているのを聞いて決めた。
「ッ、なんで！ 神立だって悔しいだろ！ 言えばきっと、」
「頼む、Aには内緒にしてくれねえか」
「だから、ッ」
「場所、移すぞ。Aに聞こえる」
俺と切島は、病院を出て、自動販売機の前のベンチに腰をかけた。切島は何か言いたそうに、だが何も言わずにいた。
「爆豪を信じるって」
「え……？」
「さっきAが。爆豪は無事に帰ってくる、って……あいつは信じてる」
俺が思うよりずっと、Aは強かった。
「そういう気持ちに水を差したくねえ、いやそれより、」
「俺のワガママだ。…………Aを巻き込みたくねえ、だから、」
「わかった」
いつの間にか立ち上がっていた切島は、俺の両肩を掴んで言う。
「神立の気持ち……いや、何より轟、お前の男らしさに俺は負けた！！」
「いや、俺は別に、男らしくはねえだろ」
「いいや男らしいぜ！ お前は神立を守りてえんだろ？ 男らしい以外の何でもねえよ！！」
……何だか分からねえが、切島は納得したらしく、これ以上の詮索はされなかった。
爆豪を救えなかったのは俺なのに、Aは俺を責めなかった。
責められていたら、少しは気楽だったかもしれねえのに。
だったら、この後悔をどうすれば良いのか、
(今度こそ……助ける)
Aが心から笑えるようにも。
例え、それが俺に向けられていなくても。
・
#思惑のコンプリケーション−002−→←#とある幼馴染への信念
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 331人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Minthia(プロフ) - 薔薇さん» はじめまして、コメントありがとうございます。そう言って頂けて凄く光栄です＊ 私もニヤニヤしながら書いてます（笑） 少し重い展開になるかもしれませんが、ぜひ見守って下さい……！ これからもよろしくお願い致します！ (2020年5月5日 16時) (
レス) id: 5be8dd8b2f (このIDを非表示/違反報告)
薔薇(プロフ) - 初コメ失礼します。ここまで一気に読んでしまいました…！凄く面白くて、一人でニヤニヤしながら読みふけってしまいましたw執筆活動、頑張ってください！！これからも応援してます！！！ (2020年5月3日 10時) (レス) id: 917336ebd6 (このIDを非表示/違反報告)
Minthia(プロフ) - 夏終朝凪さん» コメントありがとうございます！ 感想に加えて温かいお言葉まで……本当に嬉しいです(*^-^*) ぜひニヤニヤしてください、私も書きながらニヤニヤしてます（笑） これからもよろしくお願い致します！ (2020年4月7日 10時) (レス) id: 5be8dd8b2f (このIDを非表示/違反報告)
夏終朝凪(プロフ) - すごく面白いです！続き楽しみです！作者さんのペースで頑張ってください！ニヤニヤしながら読ませていただきます……(。-∀-)すいません(笑)応援してます！ (2020年4月6日 21時) (レス) id: 8142368f1e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Minthia | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kariya652/
作成日時：2020年3月27日 17時
