#17【鏡像】 ページ21
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「__ッちょ……!!? A、君ッ…!!!」
「A様ァッ!!!」
表側に押し出されたと同時に、悲鳴にも似た 嗚咽混じりの声が耳を貫く
……どうやら僕は、女性に抱きつかれているようだ
「…あの、えっと…君は……エリザベスさん、だったよね」
片目を髪で隠している少女…うん、エリザベスさんで合っている筈だ
「ぁ、えっと……A様、ですよね…?」
お互い、頭の上に疑問符が浮かぶ。…あぁ成程。彼女は僕を“あの子”だと思っているのか
…まあ無理はない。実際、姿形は ほぼAと同じ…というか、彼女の身体だから当たり前だけど
「…説明するのは難しいな、ええと…あの茶髪の…キング、くんは…」
「っキ、キング様ですかっ? 呼んで来ます!!」
困惑した様子で ぱたぱたと慌ただしく部屋を出て行く姿は、とても献身的である
1人残された僕は、改めて部屋を見渡す……此処は確か、『豚の帽子亭』という場所の…Aの部屋? しかも、窓の外では太陽が昇っている。…ううん…
どうやら、僕達が 精神世界で話をしていた間に、朝が来てしまっていたらしい。此処に居るのは恐らく、急に意識を失ったAを キングくんが此処まで運んだのだろう
そんな思考を巡らせている内に、エリザベスさんが キングくんを連れて戻って来たらしい
よく見ると、2人以外の面子も揃っているようだ
「A様っ、キング様を連れてきました!」
「うん、ありがとう……ええと、キングくん」
「A!!? もう起きて大丈夫なのかい!? あの時、急に倒れたから もうオイラ驚いて…」
「おーA起きたのか! キングが いきなり担ぎ込んで来るから驚いたぜ?」
「団ちょのあんな顔、初めて見たぜ〜♪ いいモン見せて貰った♪」
「A〜大丈夫〜? Aが居なくなったら僕ぅ…」
話を進めようとしても、幾度となく遮られてしまう始末…これは、何ていうか…濃いなぁ、
「あ、あの…説明させて貰っても、いいかな」
エリザベスさんが はっとした様子で、他の人を黙らせる
「……ふう…えっと、簡単に言うとね? 僕はAの中にいる別人格なんだよ
ほら、よく見てみて? 今の僕の姿……少しだけAと違うだろう? …此処とか」
皆、興味津々に僕の身体を観察し始める
「ええと…あんまり 見ると、Aに怒られちゃいそうだから、此処まで、ね?」
唇に人差し指を当てて 控えめに皆を制止してから、少しずつ僕とAの説明を始める
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作者名:*てぃあ* | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kariya652/
作成日時:2015年3月25日 12時