#16【悪戯】 ページ20
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「__キング……そろそろ、良い?」
暫くの間 私達は、夜空の下で 抱き合っていたが、夜風が肌に冷たく感じ始めた頃…私はキングに声をかける
するとキングは 我を忘れていたのか、頬を桃色に染め、瞑らな瞳を白黒させる
「っご、ごごごごッごめんA!!! お、オイラ、そういうつもりは全然無くて!!! え、えっと…」
慌てふためくキングの姿を見て、思わず笑みが零れる
「…っあははは! なあに? その顔……おっかしい!」
「っあ、いやっ…そのッ………っはは、そうだなぁ…おっかしいや、オイラ…」
一頻り笑いあった後、私達は星空を見上げる
「ねえキング、」
見上げたまま名前を呼ぶと、キングは 不思議そうに此方に目を向ける
「……私ね、ずっと後悔してたの」
“何を?”そう言わんばかりの怪訝な表情で 此方を見つめるキング
「同じ“罪”を背負っているのに……国を追放されたのは、私以外の皆だけだったから…」
「___いっその事、16年前のあの時…国も立場も捨てて、貴方達を追っていれば良かった」
「ってね」、と 冗談に見える程度微笑みを見せる…が、彼は深刻な顔で私を見つめていた
予想通り、といえば そうだった。彼は人一倍……優しいから。きっと考えてしまうだろうって
「何で貴方が そんな顔するの? 別に私、悲しくはなかったわ」
「だって“あいつ”が居てくれたから」そう微笑んでから、意識を手放す
意識的に意識を手放す。なんて変な表現だな、そんな くだらない思考で、何とか自分を見失わずに済んでいるようだ
次に目を開けた時、私は 私と“あいつ”…エルが唯一 2人で存在出来るセカイに居た
まるで深い、深い水の中を漂っているような。そんな、ふわふわとした感覚。私は必死に、そんな感覚に溺れないように…唯、その空間の奥深くに潜っていく
其処でやっと、探していた人物を見つける
「エルっ!」
思いもよらない声に、彼はビクンッと肩を揺らし、やっと此方に気付いたようだ
「!!?……A? 何故、こんな所に居るんだい?」
「そんな事はいいの! ねえエル、私の身体を使ってみない!?」
「はッ……!? な、何を…そんな事、許されな」
「そんなの知らない! 貴方、言ったわよね? 貴方も私の所有物だって!
じゃあ、貴方をどうしようが私の勝手でしょ!? ……というか、」
「最初から答えなんて聞いてないんだけどね」と舌を出した刹那、私はエルを“向こう側”に押し出した
「ッちょ……!!?」
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作者名:*てぃあ* | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kariya652/
作成日時:2015年3月25日 12時