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なにか言おうと口を開いても漏れてくるのは自分の呼吸の音。
なにか考えようと頭を働かせても出てくる言葉は何もなし。
『俺がもし、女関係全部切ったらAの恋愛対象になれるん』
嘘でしょ、と前方のガヤが沸いた。
そりゃ今までそんな事をヒカルから聞いたことはないもんね。
あたしもない。
数年前に言ってたこととは大違い。
｢…なれるかもね｣
屈さない。
謎のプライドが邪魔をする。
ファンの沢山いるインフルエンサーの傍で働いて、簡単に社長を好きになるなんてそんなのは許されない。
考え方も生き方も、ルックスもかっこいいのは十分分かりきった状態でチームヒカルに入ったのだ。
かっこいいという単純な理由ではヒカルの隣に行くことはできない。
『なら切るわ』
｢え？｣
『こんなんはよしやんと』
携帯を取り出したヒカルがあたしに画面を見せながら一人一人ブロックして削除していく。
1人も渋ることなく、仕事外の関係の人を切って。
『…Aちゃん』
初めて会った日、歳下だからと彼はあたしをそう呼んだ。
そして今、あの日とは違う視線で
再びあたしを呼ぶ。
『俺本気やで』
｢……なら、ちゃんと考えるから。今すぐは無理だけど｣
首をこくっと縦に振ったヒカルは優しく腕を広げた。
声に出さずに、おいで、と。
あたしがその腕に包まれた時、周りから拍手が起こった。
多分皆もう分かってると思う。
まえっさんなんかカメラの横で涙ぐんでるよ。
もしかしたら兄としてほかのメンバーよりも先に気づいてたのかもしれない。
神妙な顔をしてたのも、弟が心配だったからかも。
良い人に囲まれたね。
ヒカル。
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яeu(プロフ) - セティさん» ありがとうございます。ものすごくモチベーションになりますm(_ _)m 頑張りますね！ (2021年3月29日 21時) (
レス) id: c91b141c55 (このIDを非表示/違反報告)
セティ(プロフ) - はじめまして。続き楽しみにしていますので、無理なく更新していただけたら嬉しいです。 (2021年3月29日 15時) (レス) id: 1fbb8090be (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：яeu | 作成日時：2021年3月9日 21時
