才能 【ヒカル】

29. ページ29

『はいどうもこんにちはヒカルです』


｢どうも、相馬、トランジスタです！」


｢名人です｣


｢ロケマサです｣



しばしの沈黙が流れ、全員の目があたしに向いた。



｢あっ、Aです！ごめんなさい笑｣



初手からコケてるけど大丈夫か。
動画の途中から入ることはあっても最初から座ってるのは初めてだから、名前を言うのを忘れていた。
普段全然見てる側だからな…



『はい今回ですけども、皆さんご覧の通りAがここに座ってるんですよ』



ロケマサと名人があたしの肩にポンポンと触れる。
何かするべきなのか分からなかったけどとりあえずポーズを決めてお辞儀した。



演者としては全然だから、YouTuberがよくやってそうなことを今までの記憶から掘り起こしていかないと持ちそうになかった。
序盤も序盤だけど、改めてまえっさん捧さん含め演者の凄さを知る。



｢初めてなんじゃない？そこ座るの笑｣


｢いや初めてっすよ、だって俺と名人がこんな遠かったことないっすもん！｣


｢お邪魔させていただきますー笑｣



名人がニコニコ笑ってる。
なんか安心するね。



『最近女性のファンも増えてきたんですけどね、このAが加わったことによってもう1回男性が盛り上がってきてるんですよ』



『ということで今回の企画。まあこれは賞金レースじゃなく番外編なんですけど、』



『Aをキュンキュンさせよう選手権ー！』



お？
キュンキュン？
というのはあれか、壁ドン顎クイとかの少女漫画的なやつか？



それを4人にやられるのか、あたしが。
そうかそうかそういう企画…



｢えええええ！！｣


｢いや本人1番びっくりしてんじゃん笑｣



びっくりするよそりゃあ。
そんなアイドルみたいな企画をこのチャンネルがやるとは誰も思わないよ。



だとしたら本当にもっと気合い入れてメイクと髪の毛した方がよかった。
あたし叩かれない？大丈夫？



みんなめちゃくちゃ笑ってるから大丈夫か、な？

30.→←28.

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す