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てっきりあたしの家まで送ってくれるのかと思いきや、到着したのは朝と同じ場所。
まあ自分の家まで送ってくれなんて社長に烏滸がましいにも程があるんだけどさ。
ヒカル宅から割と近いから、ここから自分で帰れということなのかと思った。
まるでどこかの騎士か執事か王子のように助手席を開けてくれる。
こういうのって似合う人と似合わない人がいて、ヒカルは似合う人だからすごい。
「ありがとう王子、編集するんだよね?」
『そや。王子は多忙やから姫に癒してもらいたいわ』
「誰か呼びなよ笑 じゃあ帰るね、頑張って」
降りてマンションの入り口とは逆方向へ行こうとすると、あたしが持っていた手提げバッグをぐいと引っ張られた。
普通は…腕なんじゃないかなって思ったのは本人には言わない。
『お前しかおらんやろ鈍いな。ほんでどうやって帰んねん今から危ないやろ』
掴んでいたバッグを持ち直して、腕を取られる。
そのままずんずんと入り口へ向かうから抵抗は諦めた。
ヒカルは女の子大好きだし、あたしはチーム内唯一の女だからあんな言い方をするだけ。
こういうとこカメラに収まってないと思うと…
ホントに口惜しい!
セキュリティを突破してエレベーターに乗り、もはや第2の我が家へ帰ってきた。
メンバーは皆帰った後のようでこの広い部屋は閑散としている。
『よいしょっ、と…』
「おじさん…」
『なんや?』
「何もありません」
おー怖や怖や。
うちの社長は顔がいい分睨まれると怖いよのお。
いつものソファーの位置に身を置いてパソコンを開き出したヒカル。
最終チェックをするんだろうけど、その間一体あたしは何をすればいいのか。
とりあえずそこらに散らばってるもんでも片付けるか。
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яeu(プロフ) - セティさん» ありがとうございます。ものすごくモチベーションになりますm(_ _)m 頑張りますね! (2021年3月29日 21時) (レス) id: c91b141c55 (このIDを非表示/違反報告)
セティ(プロフ) - はじめまして。続き楽しみにしていますので、無理なく更新していただけたら嬉しいです。 (2021年3月29日 15時) (レス) id: 1fbb8090be (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:яeu | 作成日時:2021年3月9日 21時