冷める体温 ページ7
亀裂の中は異次元に繋がっていたのかとても広くそしてまがまがしかった
足元は少し湿っていて歩く度にペチャペチャと泥を踏んでいるような音がする
声はもっと先の方から聞こえているので私は怖じ気づきながらも足を進めた
奥にいけばいくほど少し周りの気温が下がっている気がした
とぼとぼと歩いていると前から何かが飛んできている
目を凝らしてみるとそれは青い綺麗な蝶で
蝶は私の周りを一周回ると奥へと進んでいった
『ついてこいってこと？』
私は駆け足で蝶について行った
数分歩くと鼻に掠めたのは
植物特有の青い匂いと血の生臭い匂い
そこには懐古が写真で見せてくれた彼
傭兵の明瞭がいた
脇腹を抑えて倒れ込んでいる彼に私は走って近づき体を揺らした
『明瞭さん、明瞭さんしっかりしてください！』
私が大声でそう言うと明瞭はうっすらと目を開いた
良かった生きてる…
早くここから抜け出さないと
そう思い元来た道を戻ろうとした
『あれ…？確かこっちからきた気が……』
私が通ったはずの場所は植物の根のようなもので塞がれてしまっていてでれなくてなっていた
その場所に近づき根を引っ張ったり押したりしてみたがやはり動かない
ど、どうしよう…
こんな事になるならイライに連絡してから来るんだった…
今更後悔しても遅いと絶望し体温がどんどん冷めていく
寒い……暗い……怖いよ…
イライ……
意識が朦朧として床に倒れた
その時だった
[A、手を出せ]
どこか聞き覚えのあるその声がする方に私は手を伸ばした
その手を誰かに掴まれた気がしたがそこで私は意識を飛ばした
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作者名：かりんとう(≧▽≦) | 作成日時：2020年8月20日 16時
