悪夢と薬品の香り ページ3
今僕は暗闇にいる
先程の傷は何故か無くなっており痛くない
取り合えず出口を探すべく歩いた
歩いて歩いて歩いて
すると前から一人
人がきた
僕はその人の顔をみてゾッとした
施設の人間だ
恐怖でか足がすくみ動けない
うまく呼吸ができない
いやだ、こっちに来ないで！
……
彼が体に触れる直前、僕は目を覚ました
さっきの夢のせいか冷や汗が吹き出る
嫌いな薬品の匂いが充満した部屋を見ると一人の女性が机に向かって何かをしていた
[あら起きたのね]
そう言いながら彼女は近寄ってくる
その手には注射器が握られていた
この人も施設の…
また実験される…
嫌だ…そんなの嫌だ
[ｯﾂ！？]
僕は目の前にいるその人を押し倒した
抑えつけないと
弱らせないと
殺さないと
僕はその人の首に手を伸ばした
首を掴み徐々に力を入れていく
早く早くしないと他の人が来る
早くしないと閉じ込められる
目の前の人が私の手を掴んで何か叫んだ後
僕の体は鈍い痛みと共に吹っ飛んだ
[ｯ…ｹﾞﾎｯｹﾞﾎｯ！]
僕の手が離れたその人は苦しそうに咳き込んだ
その人を見ていると視界に緑が入った
いや、緑のフードの人が入った
その人は僕を殺気の籠もった目で見てくる
この人も仲間なの？
なんでそんな目で見てくるの？
怖いよ…
僕を見ないでよ
[ｹﾞﾎ…も、大丈夫よ。]
ナース服の人はまた僕の方へ歩み寄ってきた
怖いこないで
『ごめんなさいごめんなさいｯ！嫌だ！もうあそこに戻りたくないよ！ごめんなさい！許して！』
僕が急に大声を出すものだから横にいる緑の人はビクッと体を揺らした
ナース服の人は僕を少し見ると隣に来て私の背中を撫でた…
その手はあの施設の人とは違って暖かく優しかった
その手が心地良くて少し落ち着いた
[貴女…名前はあるかしら。私はエミリーよ]
エミリーと名乗った彼女は暖かい眼差しで僕を見つめた
彼女のすべてが優しく感じた
あの笑顔も手も眼差しも
僕は震える声で名乗った
『ぼ、僕は…Aで、す。』
僕が名乗るとエミリーさんは微笑みながらまた背中を撫でてくれた
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作者名：かりんとう(≧▽≦) | 作成日時：2020年4月18日 4時
