流星雨【佐野万次郎】

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A
「今更足掻いたってもうあの頃は戻ってこない、タケミっちも知ってるでしょ？」


「皆ここにはいない、残された人達はその通りに生きるしかないの。」


武道
「いや、…俺は。」


A
「過去になんか戻れない、もう1回言うけど私たちは今を生きなきゃいけない。」


「もう東卍のこと探るべきじゃない、今朝万次郎くんから結婚おめでとうって手紙がきたの。意味分かる？東卍は私たちが居場所を知らなくても向こうは知ってる。」






つまり死と隣り合わせだよ、と言えば
その顔はいっそう強ばった。




私の薬指の指輪を見てタケミっちは急に外し
そのまま星もない夜空に投げた。






A
「うわお……ナイスピッチング〜………。」


武道
「………できる、出来るさ。信じてくれないと思う、俺が今過去に戻ってもAさんのここでの記憶はない。」


「でも俺は救わないといけないんだ。」






無くした、消えた記憶の欠片がひとつずつ重なる。


辿った先にはいつも万次郎くんがいた。




あの頃の私たちはお互いの気持ちに気づいていながらも
幼すぎた故に言葉にすることは無かった。






大人になって彼以外の恋人ができて
婚約者になり、その人と初めて身体を重ねた日も。


独りになればいつでも彼を想った。

そして後悔した。




私が独りぼっちなら、彼も独りぼっち。
この痛みはきっとお互い同じなはずだから。






A
「……みんなを助けて、タケミっち。」






一筋の星が流れた。
　
　
　
　
　
　
　

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