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38.わたしだけ ページ39

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Aside



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心臓が、うるさい。
どきどき。どきどき。どきどき。うるさい。





告白されたのは初めてじゃないけれど、友人だと思っていた人から告白されるだなんて思っていなくて。




どうしようもなく、胸が苦しい。






これは、宗介にも。郁也くんにも。いままで出会ってきた誰にも抱かなかった感情だった。






それはとても不思議な。不思議な感情。







「凛が…わたしのこと…すき…?」





「ハァッハァッ…A!」






肩を掴まれて、驚いて振り返ると、ゲッソリとした郁也君がいて、また驚いた。そうだ。わたしは、郁也くんと話してたのに。






「ね、ねぇ!Aアイツって誰なの!」





「わたしの、親友…。」






そうだ、凛は“親友”のはずだった。
なのに、いきなり、そのかてをぶっ壊して入ってきた。






理解できない。理解できないんだけれど。





なんだか、嫌な気持ちじゃない。







「ただの親友が、あんなことするわけ…!?だって、僕の言葉遮る…みたいに」





「ご、ごめんね!」




「Aは、アイツのことどう思ってんの?」





膝に手をついて、息を切らしながら、上目遣いでそう言われたら、なんだか正気に戻った気がした。





わたしは、どう思ってるんだろう。






凛のこと、どう。思ってるんだろう。






「…凛は、いつも助けて欲しい時に助けてくれて。なにかあったらそばにいてくれて。」






「それから、いつだって、私の味方でいてくれて。なんか、いて当たり前の存在みたいな…」






「じゃあ、ソイツが他の女に同じことするようになったら?




その、凛…がA以外の女を好きになって嬉しそうにしてたら?」








郁也は、何かを確認するように。
私と目を合わせた。思わず、肩が一瞬震えた。






凛が、誰かも知らない女の人に。
優しくして、私にしたみたいに抱きしめて、チューをして。







それから、缶ジュースを奢ったり。
涙を拭ったり。して。







「…どう、思う?」









.




考えるだけで、胸が痛かった。







「………わたし、嫌だ!
凛が、キスをするのも、抱きしめるのも、私だけがいい…!」






いままで、気づかなかっただけで。
わたしは、凛にたくさん助けられてきた。





そばにいるのが当たり前で。
もし、そばにいなくなるのが怖くて。






手を繋ぐとあったかくて隣を歩くと落ち着く。
そんな、凛は、私だけ知っていたい。

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いるか(プロフ) - 連続コメント失礼します。めちゃくちゃ良かったです!!!感動しました。登場人物一人一人の心情がきれいに書かれていて、胸がきゅーってなりました。本当に素敵な作品でした! (2017年12月24日 1時) (レス) id: 292db9496d (このIDを非表示/違反報告)
いるか(プロフ) - 素晴らしいです!読んでるこっちも胸がとてもきゅーってなります...。めちゃくちゃ辛いです...。早く読み終えたい!!これからも頑張ってください。 (2017年12月24日 1時) (レス) id: 292db9496d (このIDを非表示/違反報告)
ゆずは - 完結おめでとうございます!渚メインの次回作期待してます!渚大好きなので楽しみです!次回作も是非読ませていただきます! (2017年9月19日 0時) (レス) id: e7eb8e6345 (このIDを非表示/違反報告)
夏鈴桃(プロフ) - 月夜さん» つく!ありがとう!完結できたことに感謝!(`・ω・´)応援してくれてありがとねー! (2017年9月18日 23時) (レス) id: 8b8547a2d7 (このIDを非表示/違反報告)
月夜(プロフ) - 最後もう本当に泣いた...完結おめでとう!次回作も楽しみにしてます!頑張って! (2017年9月18日 23時) (レス) id: 0eb55a2f1f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:夏鈴桃 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2017年8月25日 0時

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