お母さんのよう ページ12
「アイツら…やっぱり言ってなかったんか」
「…あの？」
険しい顔になった白百合さんは、私を見ると穏やかな表情に戻った。
少し、ほっとする。
「ごめんな。急に話しかけたから、ビックリさせたやろ」
「そんなことないです、むしろ嬉しかったです！」
「…あいつらも、このくらい素直やったら良かったのに」
含みを持たせてため息をつく白百合さんは、どんよりとしたヒヤシンスにも見える。
「それで、なんで俺が中原さんのこと知ってたかってことやけど」
「はい！」
「侑と治、おるやろ？双子の」
そう言われ、そりゃあ知っているけども、と思う。
知ってるどころかあの二人のおかげであの日、私はあなたと会ったんですなんて言えない。
無言を肯定と捉えたらしい白百合さんは、言葉を続けた。
「アイツらが、期末の勉強Aに教えて貰うんや、とか、今日Aが〜とかうるさくてな」
「エッ」
なんだそれ。めちゃくちゃ恥ずかしい。
私のことを言いふらさないで欲しいけど、嬉しくて同時に頬が緩む。
「俺バレー部の主将なんやけど、部室でよお聞く名前やってから、苗字まで覚えてしまってん」
「…なるほど」
この人を見たことがある、と思ったのは、バレー部の方だったからか。
前に練習試合を見に行った時に、そういえば声掛けをしていた気がする。
「それで、空き教室の前で中原さんと会ったやろ？その事を、双子に言ってん」
終わりだと思っていたのに続けられる言葉。それに、驚愕する。
よりにもよって、あの場面を双子に言ってしまったのか。あの、情けない私の姿を。
「二人とも怒りが隠しきれとらんでなあ…まあそれは、中原さんに向けたものじゃないやろうけど」
「はは…」
相槌しか打てない。
そんな事があってたのか。羞恥と情けないのと、全部が身にふりかかる。
恐らくほかのバレー部の方も私のことを知っているんだろう。行動に気をつけねば。
「あの二人、言っとったで。中原さんのこと、大事な友達やってな」
反射的に顔をあげれば、綺麗に微笑む白百合さんが見えた。
愛おしそうに、大切なものを見るような表情だった。
「これからも双子を、よろしゅうな」
そう言いポンと頭の上に置かれた掌は、想像よりもずっと大きくて安心感がある。
こちらこそ、よろしくお願いします、だ。
「ーーはい」
しっかりと目を見て言った私に、白百合さんは満足気に頷いた。
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ruu - なんかもう、、いろんな感情が混ざり合って苦しくて苦しくて、、途中から大号泣でした、、笑 言葉選びがすごく素敵な作品で思わず感情移入しすぎてしまいました…素敵な作品ありがとうございました！ (3月18日 5時) (
レス) @page47 id: 0c6a3d0620 (このIDを非表示/違反報告)
fjkkork(プロフ) - 本当に少女漫画見てる気分になりました！号泣ものです。素敵な作品をありがとう‥ (2021年1月2日 19時) (レス) id: 2a56967181 (このIDを非表示/違反報告)
ピ(プロフ) - うわーーーｷﾞｭﾝｯｷﾞｭﾝした、、ツムと結ばれて欲しかった〜泣 (2020年11月13日 5時) (レス) id: e3a365bbc6 (このIDを非表示/違反報告)
かふぇおれ(プロフ) - ばーどさん» 恋愛の苦しさと楽しさを含めた作品にしたかったので、そう言って頂けてとても嬉しいです。ばーどさんが涙してくれたのなら、私も一緒に涙を流したいです笑 ここまで読んでいただいきそれと心温まるコメント、ありがとうございました！ (2020年8月9日 19時) (レス) id: 8f8064a962 (このIDを非表示/違反報告)
かふぇおれ(プロフ) - ユノさん» 眉毛を下げる笑笑 とっても素敵な表現で、ぜひ小説で使いたくなりますね笑 ここまで読んでいただき、それと嬉しいコメント、ありがとうございました！ (2020年8月9日 19時) (レス) id: 8f8064a962 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かふぇおれ | 作成日時：2020年5月28日 17時
