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白百合さん ページ11

浴衣なんて着るの、いつぶりだろう。

下駄も履かなきゃ行けないのかと思うと、面倒臭い。



自販機に並ぶ列はそう多くなくて、あと数人で私の番だった。






「ーーあ」





見覚えのある後ろ姿と、髪の毛。

私の目の前の大きな背中はピンと糸が通ったように伸びていて、姿勢の良さと育ちの良さを表していた。





『もしかして、中原さん?』




何週間か前、空き教室の前で放課後項垂れていた私に、声をかけてくれた人だ。


どうして目の前にいるのに、気づかなかったんだろう。それだけお祭りのことに必死になってたのか。






『ほっぺた、赤くなっとるよ』





そう伸ばされた手を振り払った記憶がある。


きっとこの人は私のことを心配してくれていたのに、それを邪険に扱った自分に腹が立つ。



多分、話したことの無い私に声をかけるのはすごく勇気がいったと思う。

それでも、泣きそうな私を見て声をかけてくれたんだ。







『ーーそうですけど、何か』





自分の返事を思い出して、頭を抱えたくなった。


…よし。なんだか、今なら大丈夫な気がする。







「あの、すいません」




そう言って、目の前の肩をトントン、と叩く。

すると彼はくるりと振り返り、私の顔を見るなり「ああ」と言った。





「中原さん、であっとるよな」

「はい…あの、謝りたいことがあって」





見れば見るほど端正な顔立ちをしていて、凛と立っている姿は白百合を連想させた。


いや、まあ男の人だけど。





「前に声をかけてくれましたよね…空き教室の、前で」




言いにくそうな私に、名前も知らない親切な白百合さん(仮)は思い出したかのような顔つきになった。


それから少しだけ微笑んで、私の目を見つめた。






「なんや、泣きそうな顔しとったから。キツイことあったんなら、吐き出してええんよって、言おうと思っとった」



「…その時、だいぶ失礼な態度をとった気がします。すいません」






それだけ言って顔を苦くした私に、白百合さんはぽかんとする。そうして、ハハッと笑った。







「なんや、そんなこと?わざわざ、ありがとおな」


「そんなことだなんて…!」





大袈裟に否定する私に、白百合さんは更に声をあげてくすくすと笑う。

口に手を当てる仕草がとっても可愛くて、私より可愛いのでは、と思う。






「それで…どうして、私のことを知ってくれてたんですか?」






白百合さんは笑いをピタリと止め、怪訝そうな顔になった。

お母さんのよう→←可愛いカッコ



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ruu - なんかもう、、いろんな感情が混ざり合って苦しくて苦しくて、、途中から大号泣でした、、笑 言葉選びがすごく素敵な作品で思わず感情移入しすぎてしまいました…素敵な作品ありがとうございました! (3月18日 5時) (レス) @page47 id: 0c6a3d0620 (このIDを非表示/違反報告)
fjkkork(プロフ) - 本当に少女漫画見てる気分になりました!号泣ものです。素敵な作品をありがとう‥ (2021年1月2日 19時) (レス) id: 2a56967181 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - うわーーーギュンッギュンした、、ツムと結ばれて欲しかった〜泣 (2020年11月13日 5時) (レス) id: e3a365bbc6 (このIDを非表示/違反報告)
かふぇおれ(プロフ) - ばーどさん» 恋愛の苦しさと楽しさを含めた作品にしたかったので、そう言って頂けてとても嬉しいです。ばーどさんが涙してくれたのなら、私も一緒に涙を流したいです笑 ここまで読んでいただいきそれと心温まるコメント、ありがとうございました! (2020年8月9日 19時) (レス) id: 8f8064a962 (このIDを非表示/違反報告)
かふぇおれ(プロフ) - ユノさん» 眉毛を下げる笑笑 とっても素敵な表現で、ぜひ小説で使いたくなりますね笑 ここまで読んでいただき、それと嬉しいコメント、ありがとうございました! (2020年8月9日 19時) (レス) id: 8f8064a962 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:かふぇおれ | 作成日時:2020年5月28日 17時

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