アルジャーノン (ページ7)

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さおりらしくないと思った

いつもふざけているばかりのさおりからは

想像もつかないくらいだった

『もうなに急に笑』

過去に何か後悔したことでもあったのか

彼女のことはまだよく知らないけれど、

今その言葉の意味を深掘りするべきではないと思った

　
笑った私を本気で気にかけていたからか

少し不服そうな顔をしていたけれど

めいちゃんに命拾いされた

　
「さおり！部活行くぞ！！
　
あ、Aじゃんさっきぶりー」

「ちょっと待って
　
じゃ、また明日ね！」

　
『うん！』

　
さおりが急いでめいちゃんの方に走って行った

　
『2人とも部活頑張って！！』

　
そう言って手を振る2人を廊下から見届けた

やっぱりあの2人は似ているし、お似合いだ

そう改めて思った

　
人を好きになるって、恋をするってなんなんだ

恋愛を全くしてこなかったわけじゃない

　

ただ私は今まで受け身すぎたのかもしれない

告白されたらとりあえず付き合って

ー「お前ってほんとに俺のこと好きなの？」

ー「男だったら誰でもいいのかよ」

よくわからない

この人しかいないという感覚も

ずっと一緒にいたいという感覚も

私ってなんなんだろう

そんなことを廊下に突っ立って呆然と考えていた

「あれ、A？」

聞き覚えのある声が後ろから聞こえた

『あ、あらきくん…となるせくん？』

あらきくんだけかと思っていたがなるせくんもいたらしい

「もう帰んの？」

『うん帰ろっかなって思ってたとこ』

　
なるせくんはただ2人の会話を聞いてるだけだった

「じゃ、一緒に帰ろせっかくだし

いいっしょなるせ」

　
「ん、全然」

あらきくんの言葉に少し動揺したようにも見えたけど、

私ほんとに大丈夫か

2人の邪魔しちゃいそう気が

『え、いや私1人でも
　
ほらやっぱもうちょっと仲良くなってからとかの方が、ね』

「おいなるせがそんなんだから気つかっちゃってるって」

『あ、違くて

私がそんなに喋れないk』

　
「帰りたい一緒に、てか帰ろ」

少しドキッとした

ちゃんと声を聞いたの初めてで

落ち着く声だった

「なるせ大胆じゃん」

「いちいち茶化すなお前」

2人の言い合いを見てなんか温かくなった

　
『じゃあ喋っててもらって
　
私カバンとってくる』

　