アルジャーノン (ページ41)

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なるせside

夏休みが終わっていつもの日常がまた始まっていく

｢なーるせっ｣

お決まりのめいとあらきが俺の机に向かってくる

『テンション無駄にたけーな今日』

｢そりゃーねぇあらき！｣

｢そうだね、もうどうやっても高くなっちゃうよね｣

花火大会のことを言っているのはもちろん分かっていた

『マジでお前らが聞きたそうなことは何もなかったけど』

｢｢え、付き合ってないの？｣｣

そこまで揃うかというくらいシンクロした2人を俺は見ていた

『別にそんなんじゃなかったし

お前らだけだよそんな舞い上がってんの』

｢いやなるせそれは奥手すぎるよ！！さすがに！！！｣

｢うんこれに関してはほんとにめいちゃんに同意｣

何を期待しているのか

そんなに付き合うことが大事なのか

たかが友達でそれが異性だったというだけなのに

『普通に友達でしょどう考えても』

｢…なるせ、本気でそう思ってんの？

あんなに人混み大嫌い人間が花火大会2人で行って

それはなるせが少しでもAのことを

特別に思ってるからじゃないの？｣

『…』

何も言えなかった

｢まあまあめいちゃんそんな熱くならないでさ

なるせにもいろいろあるんでしょ｣

｢それは、ごめん｣

めいに言われたことが頭の中でずっと流れていた

｢あ、めいお前早くしろ顧問イラついてるぞ｣

やばいという顔をしためいはすぐにカバンを持って

また明日と言いながら同じ部活の先輩であろう人と

走って行った

｢今日部活ないけど、男子の方だけ顧問に呼ばれてるらしいよ｣

｢忙しそうだわめいちゃんも｣

ぼーっとしてる俺に気づいたのかさっきの話をし始めた

｢まあめいちゃんもちょっと言いすぎたところはあったけど

もしかしたら場合によって普通の友達って言葉は

Aを傷つけることにもなるかもねとは俺も思った｣

『傷つける？』

｢花火大会誘うのなんて相当勇気いるでしょ

Aも緊張したと思うよ俺はその場面を見てないから

一概には言えないけど｣

｢まあそんなん急に言われてもだと思うし

ゆっくり考えればいいんじゃない？｣

｢帰るぞなるせ｣

『…ん、ありがと』

厳しくもちゃんと客観的な意見を言ってくれるめいと

優しくフォローしてアドバイスをくれるあらきが

いつも一緒にいてくれる事への安心感を

今さらながら感じた

そんな日だった