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花火大会からもう5日が経って
ちょうど夏休み明け最初の登校日だった
午前で終わる予定だったため
さおりと学校帰りにファミレスに寄った
「それでなんも進展ないってあんたたちどうなっちゃってんの?」
花火大会後すぐにさおりから連絡が来て
直接話しが聞きたいとそう言われた
特に何も無かったためそのまま何も無かったと伝えて
今に到る
『別にそういうので行ったわけじゃないし』
「普通、なんの興味もクソもない人と花火大会
しかも男女で!行かないでしょ」
今日のさおりは一段と押しが強い
『でも楽しかった』
「なるせはなんも言ってこなかったの?」
ため息をつきながらそう言った
『だから私たちはそんなんじゃなくて…』
さおりの呆れたような顔を見てふと疑問に思った
『なんで、今楽しいからってそれだけじゃダメなの』
『私は今のままでいいと思ってる』
『これ以上は別に望まない』
「…それは、今はなるせが傍にいてくれてるからでしょ」
「当たり前に隣にいるからそう思うだけ
2人ともお互いに予防線張ってるだけにしか私には見えない」
『…っ』
ー「錯覚させんだってよ
例えば一緒にいる人への気持ちとかそういうの」
ー「別にただの友達だし普通でしょ着いてくるくらい」
ー『私は今のままでいいと思ってる』
なるせだけじゃない
私も彼との間に線を引いている
お互いに傷つくのが怖いんだ
「A」
さおりの声に顔を上げる
「しない後悔よりする後悔
もし傷つくのが怖いと思ってんだったら傷ついた方がいい」
「私は正しい選択をしろとは言ってない
でも後悔だけは絶対にしないでほしい」
「もっと自分を大切にしな」
その言葉にはとても愛が籠っていた
厳しさの中にある優しさに胸が温かくなった
『…私、なるせのこと好きなんだと思う』
「えあんたもしかしてそっから?」
『え、いやなんか勘違いしてるって錯覚してるだけだって
言われたのなるせに』
あーなるほどと言いながらも頭を抱えるさおり
「これは長期戦になりそうだな」
『戦いだったの?これ』
「当たり前でしょ駆け引きが大事なんだから」
「ったくなるせもなるせで何考えてんだか」
少しだけイライラしてるのか烏龍茶を一気飲みしていた
私のためにそこまで考えてくれる友達がいて
幸せ者だなとそんなことを思っていた
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作者名:メル | 作成日時:2023年4月2日 17時