アルジャーノン (ページ35)

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なるせは興味なさそうにへーと呟いた

｢よう見るねこんなの毎日｣

｢俺だったらもうとっくに飽きてるわ｣

『もう帰るの？』

｢まあそうね

帰る？｣

『うん帰る』

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帰り道

あ、そういえばとなるせが止まった

改まってなんだろうと思っていると

｢優勝おめでとうございました｣

とだけ言われ

『最下位お疲れ様です』

と返した

｢お前悪口だな完全に今のは｣

｢ほんとにそれめいいたらボコボコにされてたなって感じの

セリフよ｣

そう言いながらも笑っているなるせを見て

私も笑った

｢あーあせっかくなんかしてあげようと思ったのに優勝記念に｣

『え、それ先に言ってよ』

｢お前が先に喧嘩売ってきたんだろ｣

『じゃあ私も最下位記念になんかしてあげるから』

｢それなんか複雑な気持ちだわ｣

そう言いつつもお互いに頼み事を聞く流れになった

『じゃあ、はいどーぞ何がいい？』

｢んーなんだろ改めてそう聞かれると出てこねぇな｣

2人でゆっくり歩きながらなるせは黙って考えているようだった

｢あ、じゃあ一緒に帰れる時は一緒帰ってよ｣

『え？』

｢Aが嫌だったら全然、断って｣

嫌じゃない

なるせはどういう気持ちでそれを言ってるの

こういう態度が私をますます分からなくさせる

でも私は

『嫌、じゃない』

そう答えてしまうんだ

｢ん、よかった｣

｢Aは？何がいい｣

ー｢なるせを花火大会に誘うこと♡｣

ここで言うか迷った

これを今のタイミングで言ったら

まだ知り合ったばっかなのにとか思われるかな

嫌がられるかな

…また、私を遠ざけようとするかな

ネガティブな感情が渦巻く私に

誘う勇気はなかった

『んーちょっとよく考えたいかも』

少しだけ誘う勇気を持つための時間が欲しかった

｢いやいいけど、なんかやめてよ？

レベチなのは無理よさすがに｣

『大丈夫ちゃんとしたやつにする』

もう言うことは決まっている

｢こえーお前の大丈夫ってまっじで怖いんだけど｣

私の気も知らないで呑気にいつも通りに笑いながらそう言った

その後は特に何と言ったことも無く

普通の会話をして

途中で別れた

『はぁ…』

体育祭の後なのと感情の起伏のせいとで

異常に疲れた

めいちゃんとさおりは幼なじみの状態から

どうやって付き合ったのだろうか

そもそも何をもって好きだと言うのか私には分からなかった