26 ページ26
ワイワイ騒いで帰ってるやつ
本を読みながら一人で帰ってるやつ
誰かを待ってるのかキョロキョロしてるやつ
(あいつはいつもこういうのを見てんのか)
正直何が面白いのか俺にはあまり分からなかった
少し手前に目を移すと
サッカー部やら陸上部やらが練習をしていた
窓を全開にする
「…1.2.3.4…」
ウォーミングアップをしているサッカー部のでかい声が
少し聞こえる
(…ん?アイツなんかやらかしたのか)
めいもいるはずだと思い探していたところ
他の部員は練習に打ち込んでいるのに
なぜか顧問らしき男に呼び出されているめいを見つけた
話が終わったのか走って練習にもどるめいを見届けて
俺も課題に手をつけた
チッチッチ
いつもガヤガヤしている教室では聞こえない時計の針の音が
教室に響いていた
『…おわった』
時計を見ると30分ほど経ったところだった
思ったよりHRが長引いているのか
それとも何か用事が出来たのか
そう思いスマホを見るが特に何も連絡はなかった
何もすることがなくなり
なんとなく机に突っ伏した
5分くらい立った時だろうか
扉が開く音が聞こえ、ほんの僅かに聞こえるあし音が
こっちに近づいてきた
その足音は俺のところで止まり、前の椅子に座る気配がした
多分Aだろう
俺はそのまま寝たフリを続けて
そいつがどうするのかをうかがっていた
ぽんっと2回頭に手が置かれた
「フワフワしてる」
と1人で呟いているのが少しおかしくて
Aのとった行動の意味がよく分からなくて
手が離れたところで顔を上げた
おはよと言うとビックリしているのか
戸惑っているおはよの声が聞こえた
Aの反応がおかしくて
もう少しだけいじめたくなった
『もういいの?』
「…え?」
『髪の毛』
俺が起きていたことを知った彼女は
ほんの少しムッとした顔になって
なぜ気付かないふりをしていたのかと俺に聞いた
俺はAがどんな言い訳をするのかを聞きたくて
彼女に話を振った
「いやあの…髪の毛…セットしてあげたの」
(無理があるだろ)
そう心の中で笑った
|
「…はぁ」
家に着いてすぐにベッドに横たわり
腕を目に当てて2人で帰った時に話したことを思い出していた
ー「あのさ、好きってなに」
『…っ』
あの丘であいつが言った言葉が脳裏から離れなかった
97人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:メル | 作成日時:2023年4月2日 17時