アルジャーノン (ページ16)

今日:31 hit、昨日:16 hit、合計:25,703 hit

16 ページ16

「Aってなにもしかして天然？」

めいちゃんが突拍子もないこと言うから少しびっくりした

『え全然』

「いや、あんたは天然だよ」

すかさずさおりが突っ込む

(そんなこと言われたことないけどな)

「いいなぁ俺もAと同じクラスになりたいから
さおり変わってよ｣

「ダメ私のAだから」

いつのまにかカップルの会話のテンポになってしまい

入る隙が無くなった

残りの私たち3人は少しだけその2人をいつもの事のように

見ていた

二人の会話を他所に私はあらきくんにさっきの発言を弁解した

『あ、あらきくん
変って言ったのはちょっと違くて…

二重人格だと思ってあらきくんが』

「二重人格？」

『だって昨日！
わたしとなるせがデートしたとか何とか言ったでしょ
めいちゃんに！！』

「あー言ったっちゃー言ったね」

どうしてそういう思考回路になってしまったのか

あらきくんに聞く前にさおりとめいちゃんはこっち側に

戻ってきて早く購買に行こうと唆した

「どうせなら一緒に食べよっか

今日晴れてるし外で！」

さおりの提案で5人で体育館裏の出口の2、3段の階段のところで

食べることにした

「あ、お茶もうすぐないわ｣

なるせの言葉を聞いて私も自分のを確認すると

1口分しか残っていなかった

「Aももうないじゃん
2人で買ってきなよ」

その後にこっそり私の方を見て小さくウィンクをした

私は少し顔を顰めてさおりを見たが

ほかの3人は十分な量残っていたため

さおりの言った通り2人で買いに行くことになった

「行こ」

なるせが立ち上がると同時に私の方を見てそう言った

|

ﾄﾞｸﾄﾞｸﾄﾞｸ

体育館裏から自販機までの道は人がほとんど居ないため

私の心臓の音がやけにうるさく聞こえた

『昨日ありがとね』

やっとのことで思いついた言葉がこれだった

(今日一緒に帰るのに大丈夫かこれ)

「まあおあいこね
今日送ってくれるらしいしAさんが｣

少しふざけたようにいったなるせのおかげで

昨日のような会話のテンポの感覚を思い出した

『もう力ずくで送っちゃうよ』

「いやこえーよそれ

狩られちゃってんじゃん俺」

『あそーだ

うちのクラス、帰りのHRまで
体育祭の種目決めもつれ込んじゃったから待たせちゃうけど
明日とかにした方がいい？』

(待たせるのはさすがに申し訳ないしな…)