イナシリ短編集 (ページ2)

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菜花親子【ありがとう】ページ2

未来大人黄名子視点

うちのお腹の中には、大事な息子のフェイが居る。

中学生の頃、大人のアスレイと会い、フェイのことを聞いた。

その時のアスレイの表情からして、うちはもう永くない。

だけど、うちはフェイやキャプテンたちから未来は変えられることを教えてもらった。

だから、フェイに会うために頑張る！

「黄名子、大丈夫か？あまり体調が良くないように見えるが…」

アスレイ…心配性だなぁ…

「全然大丈夫！それよりアスレイ、今、うちのお腹に赤ちゃんがいる。」

「ああ、どうした、いきなり。」

「この子の周りが、もしも全部敵になっても、うちとアスレイだけは、この子の味方で居る。それ、約束してくれる？」

これは、うちが、フェイにしてあげたいこと。

「ああ、もちろん。もう時間だ…じゃあ、行くな。」

確かにもうアスレイの仕事の時間だ。

「うん。いってらっしゃい。」

タイムキャラバン内フェイ視点

未来の僕が暮らしている時代に帰る前に、1つ、やっておきたいことがあった。

それは、僕の母さんに会いに行くこと。

そして、感謝の気持ちを伝えたい。僕はいっぱい支えられたから。

そして、僕の時代より13年くらい前の稲妻総合病院に行った。

『菜花黄名子』

あった。僕の母さんの病室が。

コンコン

「入るよ。」

「また、会えたやんね。」

そこには、黄名子…いや、母さんが居た。

「もうすぐ、フェイ…貴方の赤ちゃんが産まれるの。なんか…ちょっと変な感じだよね…友達って感じだったから…」

そう言って微笑む母さん。

でも、僕はその後のことを知っている。

「でも、君は…」

「お母さんに、なれない？」

僕の言おうとしていたことをそのまま言われた。

僕は申し訳なくなって、下を向いた。

「でも、歴史は変えられるでしょ？フェイ。うち、頑張るよ？赤ちゃんの貴方に会うために。」

母さんの言葉が、暖かく、嬉しくて、涙が零れそうになる。

「このインタラプトを乗り越えて、新しいタイムルートを作る。やんね！」

母さんのなつかしい口癖を聞き、僕は顔を上げた。

すると、母さんの優しい笑顔があった。

「ありがとう。じゃあ、行くね。未来で待っててね！」

「もちろん。フェイもしっかりね！」

「うん！」

母さんなら、新しいタイムルートを作れる、だから、大丈夫。

「ただいま！」

家に帰った。

「おかえり、フェイ！わっ、いきなりどうしたの？」

嬉しくて母さんに抱きついた。

ありがとう、大好きだよ。