イナシリ短編集 (ページ1)

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蘭ジャン【後悔】ページ1

霧野視点

未来でのサッカーを守る戦いはついに終わった。

ー図書室ー

「霧野、何探してるんだ？」

神童が声をかけてきた。

「ああ、ジャンヌが、あの後どうなったかが知りたくて…伝記がある所知らない？」

ずっと気になっていたことを調べようとした。

「霧野…伝記ならあそこだが…」

神童は少し悲しげな顔をしてそう言った。

神童は、続けて何か言おうとしていたが、俺は、その本を既に手に取っていた。

『ジャンヌ・ダルクの生涯』

俺はその本を夢中で捲った。

『1430年5月23日敵軍に捕らえられ、身代金と引き換えにイングランド軍に引き渡される。』

嘘…だろ？

俺はまたページを捲る。

『1431年5月30日魔女と断定されたジャンヌ・ダルク、火刑台にて、19年の生涯を終える。』

まだ本には続きがあったが、涙が止まらず、図書室から出て行った。

俺がジャンヌを勇気づけなければこれは防げたのか？

ごめん…ジャンヌ…

1431年5月30日ジャンヌ視点

ランマル、私は今日、火刑で異端者として罰せられます。

でも、これで良かったんです。

ランマルに出会えたこと、凄く凄く、幸せでした。

ありがとう、ランマル。

もしも私の最期を知っても、泣かないで…

私は幸せだったから。

ランマル、愛していました。ありがとう。

ジャンヌ～天国にて～

「ジャンヌよ、ランマルという者に恋をしていたのですか？」

神様が問い掛ける。

「はい、彼に気持ちを伝えておきたかったです…」

「5分、時間をあげましょう。彼は雷門中の校舎裏に居ます。気持ちを伝えてきなさい。」

「ありがとうございます、神様！」

～校舎裏～

「ジャンヌ…会いたいよ…」

彼を見つけ、私は話しかける。

「ランマル、私です…ジャンヌです。」

「ジャンヌ！ごめん…俺のせいで…」

「泣かないで下さい、ランマル。私、ランマルのことを、愛していました。大好きです。」

「俺も、ジャンヌのこと、大好きだよ！」

「これ、受け取ってもらえませんか？」

私は彼にあの時、受け取ってもらえなかったネックレスを差し出した。

「ジャンヌのお守りだろ？これ。俺に貰う資格なんて無いよ…」

「私が受け取って欲しいんです！ランマルと私の、お守りとして。」

「わかった、ありがとう。大切にするよ。」

「ありがとうございます。天国から見守っていますよ。もう、私のことで泣いちゃダメですよ？」

「うん！」

時間になり、私は天国に戻った。

笑顔でランマルを見つめながら。