78話 ページ30
A｢なんで帽子？｣
財前｢ん？｣
日に日に強くなる日差しを下に、汗を拭いながら財前にそう尋ねた
休憩を挟み、これからまた練習が始まると言う時に彼は黒い帽子を被っていた
ピアス以外で目立ったアクセサリーをつけている所は見たことない。帽子をかぶっているところなんて今日初めて見た
財前くんは私が話しかけてきたことに何度か瞬きをして見せてから、頭をかいた
財前｢あー…俺って髪の毛黒いやろ。日差し浴びて熱吸収するから頭クソ暑いねん。だから｣
その気持ちはよくわかる。私自身も髪が黒く、髪も長い。炎天下での体育なんて最悪だ
でも、黒い帽子は…違和感。いや、私事だが気に入らない
A｢……じゃあ、せめてちがうのにしなよ。暑いの嫌なのに黒の帽子なんて…ちょっと矛盾してるじゃん｣
財前｢黒の帽子しか持っとらんのや｣
A｢じゃあ、私の白い帽子あげる｣
財前｢え？｣
A｢これならサイズの調節効くし、いいでしょ。白の方が似合うよ｣
財前｢いや、そんなん借りられん。今日の部活で被る予定だったんとちゃうん？｣
A｢いーから。財前くんは今後黒い帽子禁止ね｣
財前｢はぁ？｣
彼の黒い帽子を背伸びしてとる。代わりに私の白い帽子を財前くんの真っ黒な頭の上にのせる
私の頭の大きさに調節されていた帽子のサイズを変え、被り直す財前くん
…うん、白の方がよく似合ってる
A｢それあげる｣
財前｢いや、貰えんわ｣
A｢ほとんど使ってないし、あげるよ。プレゼント｣
勝手なことばかり言う私に財前くんは嘆息をついた
こんな私にも付き合ってくれるのか、彼は面倒くさそうに言葉の接ぎ穂を探す
財前｢今日のお前ホンマにめんどいな…じゃあ、その黒い帽子は俺からのプレゼントってことで｣
私の手に握られた黒の帽子を指さしながら、変わらぬ表情でそういった財前くん。私は笑顔でその帽子を彼の前に差し出す
A｢いらないから返すよ｣
財前｢殴られたいって聞こえた気ぃするわー｣
A｢黒い帽子とか要らないし｣
財前｢ほんまに殴られたいらしいな｣
珍しく表情を崩しそうになる財前くんに酷く新鮮さを覚えた。この遊びたまにやってみよう。暇つぶしになりそう
財前｢今日のお前なんか変やで｣
A｢そう？それなら、財前くんが悪いね｣
財前｢人のせいにすな｣
いつものように笑顔を作ってみせると、財前くんは不満そうにそっぽを向いた
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 43人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ToaRin.人形劇の人形師(プロフ) - 四葉月さん» いつもコメントありがとうございます。とても励みになっています。まだ続きますので応援よろしくお願い致します (2020年4月13日 18時) (
レス) id: ae3734b391 (このIDを非表示/違反報告)
四葉月 - 新作ですね！続編もおめでとうございます！！五月七日でつゆり何ですね、知らなかった(笑)これからも頑張ってください！応援しています！ (2020年4月13日 12時) (レス) id: 3bb8824d05 (このIDを非表示/違反報告)
ToaRin.人形劇の人形師(プロフ) - あじさん» コメントありがとうございます。謙也さんとの絡みはこれからどんどん増えていきますので楽しみにしていてください。応援のお言葉とても嬉しいです。これからもどうぞよろしくお願いします。 (2020年3月23日 11時) (レス) id: ae3734b391 (このIDを非表示/違反報告)
あじ(プロフ) - 続編おめでとうございます！財前との絡み最近いい感じに増えてきて嬉しいです。謙也先輩ともこれから絡むの楽しみにしてます！謙也先輩すきっっ！これからも更新頑張ってください！！ (2020年3月23日 1時) (レス) id: 67552c5473 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ToaRin | 作成日時：2020年3月23日 1時
