122話 ページ25
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「じゃーん！どお？」
A「…どお…って？」
シオンは目の前にいる私に後ろで隠していたであろう何かを出てきた
それは赤いリボンに白いレースがついたもの。私があげたものによく似ていた
シオン「私もね、頑張って作ってみたんだー！」
A「へぇ…」
シオン「反応うっす！！もっとこう…なんかない？！」
A「…うーん…すごーい…？」
シオン「もっと感情豊かに！！」
A「注文多いなぁ…」
余程自信作だったのか、必死に褒めてもらおうとするシオン
赤い布を掲げるその手には絆創膏が沢山はられていた
その白く小さな手が目に入ると、私はシオンの手からそのリボンをそっと取り、マジマジと見つめ始めた
A「布も自分で編んだの？」
シオン「う、うん…」
手で触り、縫い目をよく見る。レースも目を凝らしてじっくりと見つめた
A「布の編み方も綺麗だし、縫い目も揃ってる。レースも初めてにしてはよくできてると思うよ」
私はそう言ってリボンを彼女に返し、その茶色の頭をポンポンと撫でた
彼女は私の行為に対して目を見開き、撫でられた部分を自分の手で覆った
シオン「ほ、ほんと？」
A「うん」
シオン「お世辞じゃないよね？」
A「ほんとだよ」
シオン「〜っつ！！」
シオンは唇を噛み締め、その目を涙でいっぱいにした
シオン「Aちゃんっ！！」
A「わっ！」
勢いよく抱きついてきた彼女に私は後ろに倒れる
突然のことに戸惑いを隠せないでいると、彼女は私の肩で泣き始めた
シオン「やっと笑ってくれたね！！もう私どうしようかと…！！私と一緒にいて嫌なんじゃないかって…！！ずっと思っててー！！」
A「そ、そんなわけ…」
大きく泣き続ける彼女に私はその頭を撫で続けることしか出来なかった
彼女の頭を撫でながら空を眺めると、いつもより空が澄んでいてとても美しかった
5分も泣き続ければ次第に泣き止み、私の肩からそっと体を離した
シオン「…これ、あげる」
A「いいの？」
シオン「うん、あげるためにつくったから」
シオンは鼻先を真っ赤にして、私にリボンを差し出した
私は彼女の顔とリボンを何度も交互に見てからそれを受け取った
A「あ…ありがとう」
ぎこちない言い方だった。感謝を言うのがこんなにも下手くそだったなんて…
シオン「どういたしまして！」
でも、そんな下手な言葉にも彼女は笑顔で答えてくれた
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作者名：ToaRin | 作成日時：2019年11月4日 1時
