112話 ページ15
「ねぇ、巫女の使命ってなに？」
シオンは唐突にそれを口にした
なんの脈絡もなくその話題を持ち出されたせいで私は動揺し、すぐに答えを出すことが出来なかった
私が最初に言葉にしたのは、回答ではなく、質問に対する質問だ
A「…どこで聞いてきたの？」
シオン「さっき大人たちが話してた」
A「そう…」
その話が大人の中で持ち出されたということは、良くないことが起きてるのか？それとも、偶然？
A「聞きたい？」
シオン「うん」
A「巫女の使命っていうのはね…＿＿＿＿＿＿」
＿＿＿＿＿＿＿＿＿
＿＿＿＿＿
＿
真っ白な雪の上を舞う白銀の髪
粉雪のように散っていくその一本一本
夕日に照らされらば、オレンジに染まる髪。しかし、雲におおわれたこの島に光は当たらない
私の髪と同じ色で輝く刀は目の前に立ちふさがる敵を確実に切り裂いていく
不快でたまらない香りがここには充満していた
血と薬品の香り
嫌いだ。この匂いは
不快感が胃の中を蹂躙して脳を駆け巡る
血飛沫が白を赤く染める
嗚呼、こいつも、こいつも、こいつも、こいつも、こいつも…
殺してやる。海賊全員
目の前を飛び交う拳を避けては、確実に急所を狙う
見た事のある顔だ。鉄筋のスムージ、瓢箪フェン･ボック、縄引きのチャッペ…たしか、元囚人だったか？
でも、そんなことはどうでもいい。目の前に立ふさがるのだから潰すしか道はないんだ
目の前の男に何度も拳を振りかぶる
今はスモーカーだってたしぎ大佐だって動けないんだから、私がこいつらを殺すしかない
私が、殺すしかないんだ
「Aっっっっ！！！！！！」
名前を叫ばれた。私の名前だ
その声はたしかにたしぎ大佐の声だったけど、彼女があんな迫力のある声を出せるはずがない
声のした方へ振り返る
私の名前を呼んだのはスモーカーだった
タバコを咥えたたしぎ大佐の姿で冷たい雪を踏みしめて、私のすぐ後ろにいた
あまりにも近い距離に疑問を覚えたが、私の腕が止まっていることに少し遅れて気がつく
スモーカーが血塗れの私の腕を掴んでいた
ｽﾓｰｶｰ「それ以上はやめろ」
そう言われ、私は目の前の男を見た
何度も殴られた顔は変形し、血を垂れ流していた
「ドサッ」
瀕死の男はそのまま気絶して冷たい雪に倒れ込んだ
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作者名：ToaRin | 作成日時：2019年11月4日 1時
