108話 ページ11
たしぎ大佐かも分からぬその人物にそんなことを言われたが…
「そっち」と言われた方向にはスモーカーらしい人物しかいない
状況を読み込めない私たちはスモーカーらしき人物を見た
彼はその場から立ち上がり、たしぎ大佐を見ていた
それに気づいたのか、スモーカーもたしぎ大佐を見つめ返した
そして、そのまま2人は硬直し、何も言葉を発しなくなった
外の吹雪の音が空洞内に響き渡り、隣の人間の呼吸音までが聞こえるようになってから1、2、3秒…
「えええええええええええええ？！」
スモーカーは今まで出したことも無いような叫び声を上げた
「…どういうことだこれは」
「いや、それはこっちが聞きたいんスけど…大佐ちゃん、だよな？」
私達もテンパっているんだ。何が何だかよく分からない
現実が信じられなくなった男は大佐にそう聞いた
「…ちげぇ、俺はスモーカーだ」
「…は？」
たしぎ大佐がスモーカー…？
どういうことだ？笑えるジョークどころか笑えないジョークすらでてこないくらい理解できていない
何？これは現在進行形で目の前で夫婦漫才コントが繰り広げられていて、今は笑うところだったとか？
「な、なんて？」
「ローにやられた。恐らく、俺とたしぎが入れ替わってる」
A「はあ…？」
意味がわからず間抜けな声が出る
そんなことまでできるのか？あの能力は…
「入れ替わってる…？大佐ちゃんとスモさんが…？」
状況が理解できないとは言ったが、そう言われれば納得してしまう
だって、あのスモーカーが可愛く頭を抱えて悩んでいるのだから
たしぎ大佐だってこんなに寒いのにシャツの前ボタンを全開にし始めた
もはやカオス状態だ
「え？スモさんが大佐ちゃんで大佐ちゃんがスモさん…？」
「俺よくわかんなくなってきた…というか、信じたくねぇ…」
「あの可愛くて可憐な大佐ちゃんが今は鬼の中将に…？」
信じられないと言うより、信じたくない現実に頭を沈めさせる男達
私もこの状況には苦笑いすら出てこなかった
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作者名：ToaRin | 作成日時：2019年11月4日 1時
