43話 ページ45
ヒナ「大丈夫？忘れ物ない？」
見送りに来たヒナさんは何度目かのその質問を再度してきた
A「それ何回目ですか？大丈夫ですよ」
ヒナ「他に必要なものとか…」
A「ちゃんと確認したので安心してください」
心配そうに見つめてくる彼女に安心するように言う
荷物はまとめてもう船の中だ
海から漂う潮の香りが時間を伝えていた
ヒナ「…でも、やっぱり」
彼女の手は何度も空を切る
私はその手を握った
彼女の手は暖かく、手袋越しでもその体温は感じられた。私の手が冷たすぎたのかもしれない
私に手をとられ、ヒナさんは眉間のシワを薄くした
ヒナ「…無理しすぎちゃダメよ」
A「しませんよ」
ヒナ「この間の出張だって、結局大怪我して帰ってきたじゃない。昔から自分の体を大切にしてないんだから…向こうでなにか怪我して帰ってきたら…」
A「怪我治しに行くんですからそんなことしません」
私は苦笑いをしながら彼女を見つめた
ヒナさんは眉間にシワがよったまま表情を暗くした
ピンクに色づいた唇を震わせ、歳上であろうとする彼女は弱音など吐くことはなかった
ヒナ「もっと頼ってくれていいのよ。たしかに、貴女の事は貴女の問題かもしれないけど、独りでやり遂げる必要なんてないんだから…
私たちは仲間でしょ」
ヒナさんは顔を上げて私にそう言った
その言葉に私は目を見開いて口から息を零した
思わず笑ってしまったんだ
A「
ヒナさんもそんな冗談言うんですね」
海軍である私たちが仲間なんて面白い冗談だ
私たちは仲間ではなく、上司と部下だ
共に戦場をかけるだけ、海賊を追うだけ
ヒナさんは固まった表情のまま、微笑んだ
肩にかけられた正義を綴る制服に手をかけ、息を落とした
ヒナ「いつになっても、Aは変わらないね」
A「そうですか？」
ヒナ「えぇ」
彼女は鉛のように重い言葉を足元に転がすと、私の背中を押した
ヒナ「そろそろ時間でしょ？いきなさい」
A「はい、行って参ります」
ヒナ「気をつけてね」
A「はい」
私は彼女に背を向けて、船に乗り込む
船に乗り、遠くなった彼女の姿は輪郭がぼやけて見えた
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ToaRin.人形劇の人形師(プロフ) - †NANA†さん» 訂正ありがとうございます。後ほど修正させていただきます (2019年10月29日 22時) (
レス) id: ae3734b391 (このIDを非表示/違反報告)
†NANA†(プロフ) - 「ルフィ」であって「ルフィー」ではありません。 (2019年10月29日 22時) (レス) id: 9d78a5537a (このIDを非表示/違反報告)
ToaRin.人形劇の人形師(プロフ) - ばりおさん» 応援のお言葉ありがとうございます！まだまだ続きますのでよろしくお願いします！すっごく嬉しいです。お付き合い願います！ (2019年9月14日 19時) (レス) id: ae3734b391 (このIDを非表示/違反報告)
ばりお - これからどうなるか気になります！更新頑張ってください(*´∀`)♪応援してます♪ (2019年9月14日 19時) (レス) id: 1a062a0ebf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ToaRin | 作成日時：2019年8月23日 20時
