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42話 ページ44

A「ガープ中将」



月明かりの下に彼の白髪はチカチカと光る


柄にもなく、独りで月を眺める彼に私は口角を弛めた


私に気がつくと大きな体は動かさず、頭だけをずらして私の姿を確認した



ガープ「…Aか。二人で話してるときぐらいそんな堅苦しい呼び方しなくてええんじゃぞ」


A「そういう訳にはいきませんよ」



ガープさん…昔はそう呼んでいた


でも、今は上司と部下だ。私の中で決めたことは揺るがない



ガープ「…最近は本当に傷が増えたな」


A「海賊もどんどん強くなっていきますからね…お恥ずかしながら簡単にいかないことも多くなってきました


死を覚悟することもそれなりに多くなってきました」



私は苦笑いを混じえて告げた


弱かった頃はそんな瞬間山ほどあった


その頃は、共に戦場を駆け抜ける恩人や背中を預ける人がいたから安心できた


でも今は違う。敵の船でたった一人、船に乗る敵に常に背中を向けて戦わなければいけない


孤独な戦場は人生の頂点に立つほどの恐怖を私に植え付け、最高の力を私に与えてくれる


そうして、強くなったんだ



ガープ「…A、お前は……くだらない正義を張って、背負い込み、息を吐くだけが人生だというのなら…


ここから去った方がいい。人生の何もかもがおかしくなっちまう


命の重さも、人の強さも、優しさも忘れてしまうような場所にいたって最後は腐るだけなんじゃ


わしは、お前にそんなふうにはなってほしくない」



ガープ中将は弱音に似たものを吐き出すと、月から目を逸らした


彼の目には2年前に死んだ少年が写っていた


私は彼を安心させるためなのか、自分に言い聞かせるためなのか、声を練りだした



A「…大丈夫ですよ、ガープ中将


そんなふうにはなりません」



不器用な笑顔がガープ中将の瞳に映った


下手くそな笑い方だ



A「…明日にはG-5の方に移ります。しばらく場所を空くことをお許しください」


ガープ「何言っとるんじゃ、ゆっくり休め」


A「はい」



月明かりと彼に正義の証を向け、光から顔を背けた




ガープ「…やはり、あの子をここにいさせるべきではなかったか」

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ToaRin.人形劇の人形師(プロフ) - †NANA†さん» 訂正ありがとうございます。後ほど修正させていただきます (2019年10月29日 22時) (レス) id: ae3734b391 (このIDを非表示/違反報告)
†NANA†(プロフ) - 「ルフィ」であって「ルフィー」ではありません。 (2019年10月29日 22時) (レス) id: 9d78a5537a (このIDを非表示/違反報告)
ToaRin.人形劇の人形師(プロフ) - ばりおさん» 応援のお言葉ありがとうございます!まだまだ続きますのでよろしくお願いします!すっごく嬉しいです。お付き合い願います! (2019年9月14日 19時) (レス) id: ae3734b391 (このIDを非表示/違反報告)
ばりお - これからどうなるか気になります!更新頑張ってください(*´∀`)♪応援してます♪ (2019年9月14日 19時) (レス) id: 1a062a0ebf (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ToaRin | 作成日時:2019年8月23日 20時

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