168話 ページ29
幸村「…でも、君のことを考えて分かったことが一つだけあった。接し方も話し方もわからなかったけど…一つだけ分かったことがあったんだ
俺たち…もしかしたら、似ていたんじゃないかって…
好きなことも似ていた。話を聞いて、俺が君に興味を抱くことは少なくなかった。
努力家なところも、好きなものに熱中できるところも…どんな事があっても立ち上がることに必死になる所も…
どことなく、俺に似ている気がしたんだ
それで、一つだけ…こんなくだらないことが分かったんだ
俺たち、出会い方を間違えてしまったんじゃないか…って…」
その言葉を聞いて彼の伏せられた目を私は見つめた
私たちが今たっている距離
私達を隔てるのは、溝ではなく鏡だ
互いを考えてるつもりになって、自分のことしか考えられていなかった。自分しか見ていなかった
それを彼は、分かっていたから…こういう答えしか出せなかったんだ
幸村「時間は戻せない。やってしまったことも、起きたこともなかったことには出来ない。
今更、1から始めるのなんか到底無理だ。
俺は、君に謝ろうとしても謝る理由を見いだせない」
当たり前だ
だって、幸村先輩は悪くないんだから
全部、私の身勝手だから
幸村「…謝ることは出来ないけど、俺は君に許しを乞いているんだ…君に許されたいって思ってる
こう言ったら、君は怒るかもしれないけど…
俺は、四月一日さんと仲間になりたいんだ」
幸村先輩はその美しい青の瞳で私を見た
太陽に照らされ、美しく光る深い水面のようだった
A「…私も、もう…疲れました。考えるの…
全部忘れるなんて無理だと…私も思います
でも、上書きなんていくらでも出来ます」
私がそう言うと、彼は驚いた顔をしてから泣きだしそうな顔になった
私も、瞳が潤んだ
私は足を1歩、また1歩と出す
彼も同様に歩き出した
目の前を隔ててたのは確かに、鏡だった
だけど、そんなもの…壊すのは容易いことだ
幸村先輩は日陰からその顔を出す
風が私達を髪を大きく揺らし、草木を空に映し出す
足裏から伝う芝生の感触。海のざわめき
全てが神経を通じて、はっきりと感じ取られた
私たちが落ち合ったのは、太陽の真下
全ての緊張や疲れが抜け落ちた顔で私達は微笑んだ
幸村「…ありがとう」
A「何に対しての礼なのかさっぱりですね」
幸村「全部だよ」
差し出された右手、私はこの手でしっかり受け止めた
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ToaRin.人形劇の人形師(プロフ) - 牙龍Mueさん» コメントありがとうございます!そう言って頂けて本当に嬉しいです!只今新作の方で一気に更新してるので次の更新までもう少しお待ちください! (2019年8月10日 15時) (レス) id: ae3734b391 (このIDを非表示/違反報告)
牙龍Mue(プロフ) - 読んでハマって1からここまで読みました!次の更新楽しみにしています! (2019年8月10日 14時) (レス) id: 805b4b6942 (このIDを非表示/違反報告)
ToaRin.人形劇の人形師(プロフ) - 四葉月さん» 応援のお言葉、ありがとうございます!めっちゃ嬉しいです!!こんな長い話を読んでいただけるなんて本当に感激です…まだ続きますのでお付き合い下さい!! (2019年7月27日 10時) (レス) id: ae3734b391 (このIDを非表示/違反報告)
四葉月 - 更新楽しみにしています!1から読み進めあっという間に今に至ります!頑張ってくださいね! (2019年7月27日 2時) (レス) id: 3bb8824d05 (このIDを非表示/違反報告)
ToaRin.人形劇の人形師(プロフ) - チビなスズさん» ご指摘ありがとうございます!深夜に書いているので誤字が多く申し訳ございません。後で修正しておきます。応援のお言葉、とても嬉しいです!ありがとうございます!!まだ続きますのでお付き合い下さい (2019年7月24日 21時) (レス) id: ae3734b391 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ToaRin | 作成日時:2019年5月30日 18時