【テニプリ】レズで何が悪い！！4【立海】

167話 ページ28

A「でも…恨みたいのに、心の底では恨みきれなかったんです


あなたが優しい人だと知っていたから


貴方が悪人じゃないから



知っていた事実から目を背けたかっただけなんです」



自分の言葉で自分を刺していく感覚だった


苦しくて、苦しくて…


楽になる方法なんてなかった



A「どうすればいいのか分からなくて…ずっと路頭に迷ってました



貴方を恨み続けるのか、受け入れるのか



…どっちを選んだところでどうすればいいのかもろくに分からないから、目を逸らし続けてきました」



1度、口が止まってしまう


幸村先輩はずっと目を伏せたままだった


彼は上がらない視線のまま、私の話だけを聞いていた


切り取られた世界に存在しているのは、私たちだけだった



A「でも…でも、もういいんです



もう十分です



幸村先輩も、私も…十分悩みました。



もう、終わりにしたいんです。苦しみから逃げたいんです。



我儘なのは理解の上です。



だけど……」



震える唇


貴方の中にメアリ先輩の笑顔が浮かんだ


記憶の中の彼女は誰よりも輝いていた


少し垂れた目元、長いまつ毛が太陽の光に反射してチカチカしてた


赤紫の髪は1本1本が生きてるように風を泳ぐ


真っ赤なバレッタは美しく光を放つ



記憶の中でも、彼女は美しく生きている





だから、私は彼女が好きなんだ





A「…




恋で悩むのは沢山です。





もう、終わりにしましょう」




泣きそうな顔だったか


幸村先輩はつらそうな表情を浮かべていた


貴方が、そんな顔する必要なんてないのに




幸村「四月一日さん…俺は……」




幸村先輩は言葉を紡ぐのを辞める


しかし、少しの沈黙を零してから再び口を開いた




幸村「…俺、前にね…蓮二に君のことを聞いたんだ



君は細かい作業が好きで、女の子らしいことをするのが好きだって聞いた



それ以外にも沢山聞いたんだ…



苦手なものも、好きなもの、嫌いなこと…





そして、君の好きな人の話…全部…





聞いちゃいけないことだったと…物凄く、後悔したんだ。



俺なりに…物凄く、考えたんだ。



謝るべきなのか、俺は君を避けるべきなのか…死ぬほど考えたけど、分からなかった」

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