【テニプリ】レズで何が悪い！！4【立海】

166話 ページ27

丸井先輩が指さす方向に走った


見覚えのある黄色のユニフォームを見つけるのに、そう時間は要さなかった


呼吸と心拍数を抑える方にはもしかしたら時間がかかったかもしれない


1度大きく息を吐いて、膝に着いた手を退かす


瞼を下ろすと、海の塩を含んだ風が髪を揺らした


直射日光の当たらない建物の影に立ち尽くしていた幸村先輩



私はやっと終わった心の準備をさらに急かすように声をかけた



A「幸村先輩」



私の声を聞き入れたのか、先輩は私の方へ振り返った


こうして見てみれば、幸村先輩の顔は確かに整っている


振り返り際の目線の置き方や、少し開いた口でさえからもどこか美しさを感じる



メアリ先輩が惚れるのも納得してしまうほどに



幸村「来てくれて…ありがとう、というべきかな」


A「……」



私達は目線を絡ませた


初めてではないはずなのに、初めて目を合わせたようだった


それだけ、互いを避けてたのだろう



幸村「四月一日さん、その…」


A「はい…」



幸村先輩は1度は逸らしかけた視線もう一度戻してから、今度は先ほどよりハッキリと話し始める



幸村「俺は…俺の答え、ずっと探してたんだ。



君に対してどう接するか…どうやって話すか…」



私も同じだ



幸村「何度も考えた…でも





よく、わからなかった」



少し強い風が大きく彼の髪を揺らした



幸村「俺には、どうするべきか分からなかった…




だから、君の話を聞かせて欲しいんだ」



幸村先輩は眉を下げると、それ以上何も言わなくなった


私は応答するように言葉を灯し始めた



A「私、は…」



少し震えた指先を手で抑え込む


力強く、拳を握り直す



A「私は…幸村先輩を理解しきれませんでした


偶然そこにいた貴方を呪うことしか思いつかなかった足りない頭にほかの何かをやろうとする取り入れるのは難しかったです


受け入れたくも…ありませんでした



偶然であろうと、私から幸せをもぎ取ったのは紛れもない貴方自身


だから、許せないと…自分に思い込ませてました


……そうでもしなきゃ…納得がいかなかったから」



あのやり場のない虚空感を幸村先輩にぶつけ続けてきた

167話→←165話

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す