【テ二プリ】人気者と嫌われ者【立海】

58話 ページ10

くらい


暗いよ


ここは…どこ？


冷たい…寒い…


どこを向いても真っ暗で


自分がどこにいるのかも、どこを向いているのかもわからない


手を伸ばしているけど、指先がどこにあるのかわからない


分かるのは、口から零れていく空気の泡


私は天にてを掲げていた


…ああ、知ってる。この感覚


これは、両親に井戸で殺されかけた時の感覚と似てる


この手は神を望む手か、酸素を求む手か…はたまた、両親に向けられた手なのか


たしか、あの日は雨で


空が曇っていた


…なんだか、ふわふわしてて気持ちいい





もう一生、このままでもいいかも


出来損ないとかお前のせいだとか散々言われたし


両親も私が死んだらせいせいするどころか、泣いて喜ぶだろう


邪魔者はいなくなるんだし


…この死を覚悟する感じ、前にもあった気がする


…そうだ


そうすれば…


私は、暗澹とした世界から目を背けるように


目を閉じる








「…………う」


「……じょう」


「＿＿＿＿＿＿…」









「九条！！！！！！！」



…この声は


誰だっけ


聞き覚えが…


「九条！今日ね、プレゼントがあるの」


誰？


「九条、どこ行きたい？」


誰なの？


「くーじょおっ！あのねあのね！実はピアノ弾けるようになったんだよ！」


だ…れ…


「私ね、九条のこと大好きだよ」


あなたは…


「九条、約束して…」


貴女……は…




「私は、何があっても絶対…九条のこと守るよ


私は九条のために生きる


だからね、代わりに…






九条は、私の為に生きて。」





嗚呼、そうだ



あなたは


貴女の名前は…！！！




「あぶない！！！！九条！！！！」

「織語！！！！逃げて！！！！！」









『それでも、いいんだね？』


九条「ええ、構いません。私は、罪を償いますから…









織語を死なせた罪を」



あなたの名前は、織語煠弍



あの事故で死ぬはずだった人

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