27話 ページ29
九條「っつ…」
胸ぐらを掴まれ、壁に背中を打ち付けれた
この間、お父さんに包丁で切りつけられた背中の傷
開きかけている
次、なにかされたら、
完全に開くだろうな
幸村「女だからって容赦はしない」
九條「織語に聞けばいいじゃないですか」
幸村「…………」
聞けないんでしょ?聞くのが怖いんでしょ?
そうよね、だって答えなんて分かりきってしまっているんだから
きっと織語はこう答える
『だから何?そんな事でこの私が九條のこと嫌いになるとでも思ってんの?』
と、
だから、私に聞くしかない
そんなこと知っている
でも、いつまでもかっこ悪いところばかり見せたくないんですよ
どこかのカメラや盗聴器を通して聞いている誰かに
優越感からくる気味の悪い喜びの表情
九條「知っていますよ。知っているから怖いんですよね。私の方が愛されているから」
幸村「っ!!」
図星だ
「ダァッン!!!」
私の顔の真横の壁が凹む
幸村先輩が思い切り殴った
そんなキレなくてもいいじゃないか
幸村「無駄口ばっか叩きやがって…」
九條「別に話してもいいですよ。でも、貴方の行動はわかりやすいから、つまらないんですよね」
幸村「殴られそうになっても瞬き一つしないお前の方がつまらないよ。」
九條「そうですか?
私が織語のこと利用してるって言ってもつまらないっていえます?」
幸村先輩の目の色が変わる
私をみた
唖然とした顔から
豹変する
眉にしわを寄せ
睨む
その目には確かに、憎悪があった
感情をあらわにしたその瞳
私を殺そうとするその手
その手がのびてくる
九條「そういうことしていいと思ってるんですか?」
構わず、距離を縮めていく腕
九條「織語に言いつけていいんですね?」
織語
その言葉に腕は一瞬止まる
ここでやめるとは思ってないけど
「バンっ!!」
突如、右肩が後ろに叩きつけられる
右肩だけ思い切り押されたのだ
幸村「次何かしたら只じゃおかないからな」
九條「そう」
「タッタッタッ…」
幸村先輩の足音が遠のく
利用してるって、
嘘じゃないんだよね
だって、私は織語の心を利用して愛しされている
きっと、織語じゃなくても、違う人が同じことをやっていたら
私はその人を好きになっていた
でも、今私の隣にいるのは織語だから
私は織語の心を利用して
愛されるの
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作者名:ToaRin | 作成日時:2017年9月10日 23時