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19話 ページ21

その時、声をかけられて


織語は私と一緒にいることが増えた


理由なんてわからない


なんで出会ったのかも


でも、そんなことはどうでもいい


だってもう、出会ってしまったのだから


織語「九條はさ、辛くないの?」


投げかけられた言葉


きっと、織語に出会う前の私ならこの質問に回答できなかった


九條「辛くないよ。だって織語がいるんだもん…!」


織語に不幸は訪れなかった


今まで1度も、


初めはビクビクしていたが、何故だか「大丈夫」と感じた


だから、私には織語が必要


織語がいない世界なんて私には要らない


私は織語がいるから生きていられる


この瞳の罪が消えることは無い


しかし、織語は言った


「私といる時くらい、忘れてもいいでしょ。だから、これ」


そう言って渡されたのが黒いコンタクト


私のための


そのコンタクトは初めてのプレゼント


織語から貰った初めての


今まで1度も、失くした事は無かった


大切に、感謝して、ずっと…ずっと…


なのに


九條「コンタクトが…」


視界が霞む


大切なものなの


アレをつけてから、両親からの暴力も減った


だから、あれが必要


九條「必要なの…」


柳生「お…落ち着いてください……私も探しますから…」


九條「ほん、と?」


柳生「はい」


私は紅い目を隠しながら手探りでコンタクトを探し始めた


柳生先輩も


棚の隙間や、少し離れたところ


全部探した


隅々まで


柳生「ない」


一言、呟いて


柳生先輩は悲しい顔をした


私はその横顔を見つめたあと


でも、1箇所だけ


探していないところがあることに気づいた


九條「さっき落とした、本の…下……」


途切れ途切れの言葉に


本の元へ


厚みのある本を持ち上げた


かぶっていたホコリが舞った


柳生「あった」


その本の下に


コンタクトはあった


でも


九條「割れてる……」


コンタクトの凹凸は無くなり、平たくなっていた


壊れたといってもいいだろう


汚れ、壊れたソレをひろいあげる


手で握りしめて、


九條「柳生先輩、ありがとうございました」


お礼の言葉を述べて、私は図書室をあとにした


_________
______
_


「ガラガラ」


九條「失礼致します。」


「あれ?九條さん、保健室に来るなんて珍しいわね」


九條「ものもらいになってしまったので、眼帯を貰いたいんですけど」


「あら、そうなの?いいけど病院には?」


九條「…………今度、行きますよ」

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作者名:ToaRin | 作成日時:2017年9月10日 23時

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