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勇利「…それって、今回の事故が関係してるんですか?」
担当医「ちゃんと検査してみないと分かりませんが、その確率が高いでしょう。少し時間が経ってから検査にお呼びしますので、声が掛かるまでお待ちください。」
「シャァァ」
聞き慣れてしまったカーテンの音にため息が漏れる
A「ベルはどう思う?」
ベル「先程、仰った通り、視神経に問題があるかと…失明の心配は恐らく心配はいりません。徐々に視力は低下していくと思われます。事故の影響ということは間違いないでしょう。ただ、一気に視力は低下していきます。」
A「詳しいね…何かやってたの?」
ベルの方向は見ず、窓の外を眺める
興味はないが、暇なので少しくらいは無駄な会話をしたい
ベル「貴女のことを調べていたら余分な知識が大量にあったので…覚えていました」
A「大量の知識って…?」
ベル「貴女の知識ですよ」
A「私の…?」
溶ける気配のない疑問は宙を漂い、彼については何も知らないという新たなものが一緒に帰ってきた
14年も一緒にいて何やってんだろ…私…
ベル「はい。相手を知るにはまず、相手の知ってることを知ることが一番早いので…」
A「へぇー…」
ベルも大変だったのか…
私のせいだけど
ベル「貴女はなかなか面白かった……あんな小さい頭で、見たもの全てを記憶するその力…貴女の14年分の記憶は他人の何100倍もの記憶でした。それに、貴女は優秀でしたからね」
A「で、キミはほかの人の何100倍も努力したから、博識だとな」
ベル「その通りでございます」
嫌味もうまくなったもんだな
静かになった部屋
閉じられてしまったカーテンがあるから
私は外の景色がいつまでたっても見えない
誰か開けて
空が見たい
自分とは正反対の、
綺麗な…空が…
「シャァァ」
ナース「お待たせいたしました、こちらへどうぞ」
開かれたのは窓とは反対のカーテン
…残念
ベル「……主」
A「…ん?」
ベル「……私のデッサンしなくていいんですか?」
A「あ、そうだった…!検査終わったら描くから待ってろー」
ベル「はい。」
ナースに付いていくためにスタスタと進む
早く終わらせよう
嫌なことは、早く終わらせよう
大丈夫。見えなくなるわけじゃない
……みんなの顔が見えなるわけじゃない
どこかで聞こえた、電話を無視して
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てく - 違反になりますので、オリジナルフラグを外していただけませんか? 作品作成のルール・注意点・ガイドラインにも載っていますのでおめ通しください (2017年6月30日 0時) (レス) id: 42191458d8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ToaRin | 作成日時:2017年6月29日 23時