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第百五十六話「十年一昔」 ページ19

味がしない食パンを噛みしめる。
貴「…有難うございます。美味しいです。」
いくら口を動かしても、頭は働かない。
美味しい、のだろう。きっとこのパンは。

タママ「それで、Aっちは何があったんです?ご存知ですか?会長」
あざとく首をかしげて、甘い声を出す。
ケロロ「さぁ…まだ聞けてないんでありますよねぇ」
それに倣い彼も首をかしげて、Aの方に目をやるもギロロに軽く頭を叩かれてしまう。
ギロロ「ふん…変に問い詰めるわけにもいかんだろ」
ギロロ「話したくなるその時まで、待てば良い」
腕を組み、ハァとため息をつく。
ドロロ「…」
彼は、何も言わずじっとAを見つめていた。
タママ「…?やっぱりドロロさんはAっちのこと心配でしたよね!」
ドロロ「…そうでござるな、でもどうしてここに?」
ケロロ「よく分からないんでありますが、クルルが連れてきたんでありますよ」
ケロロ「まぁ事情が事情であるだけに、しばらくは吾輩の家に…」

貴「…」
私が黙々とご飯を食べている間に、刻々と話は進んでいく。
パンから目を逸らし、ドロロさんを見上げる。
…一体何を考えているのだろう。
マスクのせいで表情が読み取れない。

貴「…」

彼らの話し声に混じり、また階段を下りる音が聞こえてくる。
きっと、”彼”だろう。
冷や汗が止まらなかった。
どうなってしまうかなんて、火を見るより明らかだ。

クルル「ふぁぁ…オイオイ、なんで俺様を起こさ…」
貴「(…)」
貴「(死んだなこれ)」
どうしよう、としても私にはどうにもならない。

クルル「はァ?」
眼鏡にヒビが入る音も聞こえてくる…。
貴「(うわぁぁぁ)」
目を瞑る。
耳も塞ぎたかったが、そんな明らかな行動は控えるべきだろう。

ドロロ「…やぁクルル殿、遅い目覚めでござるな」
ケロロ「そうでありますよー!この寝坊助さ」

クルル「…」
彼は何も言わない。
というより、言葉を探しているようだった。

クルル「…ククッ」
クルル「騎士様が遅いご登場だなァ?」
クルル「なァ?何か言ってみろよ」
クルルさんはドロロさんのマスクを乱暴に引っ張る。
ケロロ「クッ…クルル?」
タママ「クルルさん、落ち着いて下さい!」

『一触即発』
まさにその言葉が相応しいだろう。
空気がピリピリとして、肌が痺れる。

ドロロ「クルル殿が行方不明だったA殿を見つけたんであろう?」
ドロロ「感謝こそすれど、他に何も言うことはないでござるよ」

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こも(プロフ) - 好きすぎて何周かしました…がち大好きです…続き待ってます!! (1月30日 21時) (レス) @page19 id: c580577939 (このIDを非表示/違反報告)
みまさかや(プロフ) - 四字熟語の意味とか伏線とかめっちゃ気になります!!話構成やキャラがすごく立っていて素晴らしいです!!続き出されるのか分かりかねますが有れば飛び上がって喜ぶ自信があります。執筆活動頑張ってください! (2021年5月30日 1時) (レス) id: a432ddc5a7 (このIDを非表示/違反報告)
ネコメ - 続きを楽しみにしてます。頑張ってください! (2021年5月24日 21時) (レス) id: 38063781d3 (このIDを非表示/違反報告)
ルト(プロフ) - 更新されてて泣きました....ありがとうございます。大好きです。応援しています。 (2020年7月25日 18時) (レス) id: 1af78e2485 (このIDを非表示/違反報告)
メフィ - 気になる.....気になっちゃうよーーーーー!!!!! (2020年7月3日 21時) (レス) id: 2ce8d674b4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:提琴 | 作成日時:2015年9月10日 22時

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