第百三十九話「判官贔屓」 ページ2
目の前で部下が土下座している 泣きながら助けてくれと言わんばかりに
まるで地獄に堕ちる罪人のように 何回も何回も乞い続ける
「申し訳ございません…!申し訳ございません…!」
ゾルル「…俺に謝るな」
むしろ部下は謝るどころか 本来褒められる立場であったのだろうに…
ゾルル「お前は…よくやった」
結果はどうであろうが過程は素晴らしかった
二日間で何も手掛かりも無い あの娘と北城の居場所を見つけたのだから
だが一足遅かった 我々が到着した時 既に此処はもぬけの殻だった
ゾルル「…」
土にタイヤ跡があるということは車で立ち去ったのか…
軽く下を見て彼らの行く先を想定する
「いっいまから急いでまた特定いたします!」
土下座しながら部下は言い続けた
きっとあの主人に処罰されるのが怖いのだろう
ゾルル「…お前達の責任は全て俺が取る」
ゾルル「だからまずは…寝ろ」
部下の目はくまで覆われていた この二日間一切寝ていないからだ
流石に疲れている部下を酷使する程 鬼でも無い
「しっしかし…」
顔を上げ部下は反論する 顔はもうグシャグシャだった
ゾルル「…これはあの娘が選んだ道だ」
前の御主人様が申していた言葉を思い出す
あの女は理由や動機がどうであろうと 自らの意思であの家を抜け出した
今の御主人 ドロロと同じように
その事実は変わらない
ゾルル「今更外野が何を言ったところで無意味だ」
それは部下も薄々気付いていたようで 皆気まずそうに黙る
そして同時に俺の中にある感情も気付いていたようだ
とても個人的な感情
「北城を殺したくない」 という感情に
そしてそれもまた皆 薄々気付きながら見ぬふりをしていた思いだった
「…御嬢様は幸せになれるでしょうか」
ボソッと別の部下が呟いた
ゾルル「…さあな」
俺達だって人間だ あの不幸な女に同情という感情を抱かなかったわけがない
それに あの娘が御主人と共に居て幸せになれるとはとても思えなかった
御主人にとっても 娘にとっても
表面上だけの幸せでなら埋め尽くせるのだがな
ゾルル「…互いが生きている限り………幸せになることは有り得ないかもしれんな」
そう言い俺は ポケットから煙草を出す
口に咥え 火を付ける そして煙を吐く
ゾルル「…結末なんか俺の…知ったことではないが」
久々に吸った煙草の味は とても苦かった
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こも(プロフ) - 好きすぎて何周かしました…がち大好きです…続き待ってます！！ (1月30日 21時) (
レス) @page19 id: c580577939 (このIDを非表示/違反報告)
みまさかや(プロフ) - 四字熟語の意味とか伏線とかめっちゃ気になります！！話構成やキャラがすごく立っていて素晴らしいです！！続き出されるのか分かりかねますが有れば飛び上がって喜ぶ自信があります。執筆活動頑張ってください！ (2021年5月30日 1時) (レス) id: a432ddc5a7 (このIDを非表示/違反報告)
ネコメ - 続きを楽しみにしてます。頑張ってください！ (2021年5月24日 21時) (レス) id: 38063781d3 (このIDを非表示/違反報告)
ルト(プロフ) - 更新されてて泣きました....ありがとうございます。大好きです。応援しています。 (2020年7月25日 18時) (レス) id: 1af78e2485 (このIDを非表示/違反報告)
メフィ - 気になる.....気になっちゃうよーーーーー！！！！！ (2020年7月3日 21時) (レス) id: 2ce8d674b4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：提琴 | 作成日時：2015年9月10日 22時
