Ep.50 ページ7
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轟「ベンチって…あれか」
轟の視線の先には少し古びたベンチがあった
2人でそこに座るとベンチはミシッという音を立てる
A「30秒数えるんだよね」
轟「そうだな………なぁA」 ガサッ!!
A「ヒィっ!?」
轟の声に被せて、隣の茂みで何かが揺れ動いた
Aは反射的に隣の轟の腕にしがみつく
轟「安心しろ、多分猫だ」
A「ま、また猫…?」
轟「多分な、こういうのダメなのか?」
A「うん、急にびっくり系は特に…
え?」
膝の上に置いていた手が暖かくなるのを感じて思わず声が漏れた
目線を下に落とすと、轟の左手がAの右手を包み込んでいた
A「轟…くん?」
突然の事にAの心臓の音は急加速する
驚きながらも轟の方を見るとあまりに真剣な目付きにAは何も言えなくなってしまった
轟「……これでも、まだ伝わらねぇか…?」
不意に口を開き、そう言った轟はAの小さな手をギュッと握り直した
A「え…?」
戸惑ったように瞳を揺らすと、轟はそっと手を離してベンチから立ち上がった
轟「もう30秒経ったよな、行くか」
さっきまでのことが嘘のようにあっけらかんとした態度にAも拍子抜けした
轟は広場を離れ、Aも追いかけるように少し後ろで帰りのルートを歩く
A(伝わらない…って)
Aは轟の背中を見つめながら先程の発言を考えていた
コテージでの「俺にもチャンスがあるって事だよな」と言った轟の発言も思い出す
A(“そういう”事…なの…?)
そこまで鈍くないAはその意味を考えると自然と頬が熱くなった
…
その頃、爆豪と切島チーム
切島「はー肝試しつってもただ歩いてるだけだな」
爆豪「クソつまんねえ」
切島「轟とAが一緒だからか?」
ニヤッとして切島は爆豪の本心を言い当てる
爆豪は小さく舌打ちしてそっぽを向いた
爆豪「そんなんじゃねえわ」
切島「そんなんもなにもおめー、態度に出過ぎなんだよ。
合宿来る前から変だなとは思ってたが、Aと轟見て一瞬でこれが原因って分かったぜ?」
爆豪「うっせえ!!気に食わねーんだよ、Aも…半分野郎も…」
切島「ハハッ、よっぽどAが好きなんだな」
爆豪「は」
切島「え?」
面白そうに笑っていた切島も爆豪のその反応を見て、笑顔が自然と引いて言った
顔を見合わせ、お互い歩んでいた足を止めた
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panda - すごくすごく好きです!性癖ドストライク…!!! (2020年10月1日 10時) (レス) id: 9e19b6eb78 (このIDを非表示/違反報告)
uka8502(プロフ) - 早くかっちゃんと('-' ).........。面白いです!頑張って更新お願いします!! (2020年5月20日 20時) (レス) id: 7913de20e0 (このIDを非表示/違反報告)
SuzuCastilla(プロフ) - とても文章力のある素晴らしい作品でございますね……続き楽しみに待ってます。( ˙˘˙ ) (2020年5月1日 2時) (レス) id: a2ac8206a0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:洸姫 | 作成日時:2020年3月30日 20時