八雲の向こう側を ページ10
【和泉守side】
時計の針が時を刻む音が、出払っている者と主達以外が会した食堂に響く。それが示す時間は、Aが手入れ部屋へと運ばれてからとうに三時間が経過していた。
敵が今までとは違う戦法を用いてきたこと。
それを調べる中で冬夜と真白という人物に出会い、そこからAの様子が明らかにおかしかったこと。
遡行軍の奇襲を受け、敵の狙いがその二人だということが分かったこと。
Aが暴走を始めたこと。
異例の敵の話をするために本丸に木蓮が訪れていて、Aの刀解騒ぎが起こったこと。
その弾みに映像を通してこちらの戦況を見たこと。
誰もが混乱し状況を上手く掴めていないことから、オレ達と非番組はそれぞれ今までの経緯を全て話し合い、そして現在、その情報量の多さに揃って眉間に皺を寄せていた。
「...とにかく、君達が今回の出陣で異例の遡行軍を相手にしてることは主から聞いていたから...Aちゃんは重症を負ってしまったけど、一先ず全員で帰還してくれて良かったよ」
沈黙が生まれた空間を破った燭台切の言葉に、オレ達は知らず知らずのうちに止めていた息を吐き出す。
消化しきれないものが多くて、そんな気遣いの言葉にも、ああ、としか返せなかった。
「...蜂須賀兄ちゃん、Aちゃん助かるよね？」
「主が診てくれているからね、きっと大丈夫だ」
「岩融...」
「主は霊力が強い。案ずるな今剣」
今にも泣きだしそう...というか殆ど鼻を啜りながらAの身を案じる短刀や脇差達を周りが宥める。...けれど、その表情は皆何処か強ばっていた。
...そりゃそうだろ、突然仲間があんな血塗れで帰ってきたんだから。
羽織見りゃ分かる。染み込んだ血の量は相当だ。
あれだけ出血して、遡行軍からの妨害も向けて、それでも死ぬ前に帰還出来たのは奇跡だ。
あと少しでも遅れていたら。...そう考えるとぞっとする。
もっとも...
『っ、...終わりに、しよう』
あいつはそれを、望んでいたようだったけど。
「...主が戻ってきたら、色々と聞かねばなるまいな」
ぽつりと呟いた三日月の声に、皆が顔を上げる。
「Aのことだ」
「...！」
それにそう答えた三日月に、オレは拳をぐっと握った。
...そうだ、聞かなければいけない。Aのことを。
主は、Aは、こんのすけは。
一体、何を隠しているのか。
どうして、話してくれないのか。
それを、聞かないと。
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不透明どろっぷ。(プロフ) - 前回のやつと今回で涙腺が緩んで戻らなくなってしまいました(号泣) とても凝った話ですね！ (2021年3月1日 22時) (
レス) id: a7e7752e52 (このIDを非表示/違反報告)
ニャンコソバ２(プロフ) - 狩歌さん» やったぁぁ!!楽しみにしてますねっっ!! (2019年4月21日 20時) (レス) id: 5238a033a3 (このIDを非表示/違反報告)
狩歌(プロフ) - ニャンコソバ２さん» ニャンコソバさんこんにちは！ありがとうございます〜！楽しんでいただけたなら幸いです(*´∀｀*)リクエスト了解しました！リア充させますよ〜！ (2019年4月21日 9時) (レス) id: 8b0337ee0c (このIDを非表示/違反報告)
狩歌(プロフ) - しおねーさん» ありがとうございます！もうしばしお待ちください〜 (2019年4月21日 9時) (レス) id: 8b0337ee0c (このIDを非表示/違反報告)
ニャンコソバ２(プロフ) - お、お疲れさまでした…(?)貯めに貯めて、一気に読みましたところ、涙腺が見事に崩壊しました。笑堀川くんとリア充するやつ見てみたいです( (2019年4月21日 8時) (レス) id: 5238a033a3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：狩歌 | 作成日時：2019年2月18日 19時
