【残雪の残夢 参】 ページ22
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「...じゃあ行こっか」
「え？」
突然そう言って雪さんが歩きだそうとする。理解出来ず首を傾げる僕に、雪さんは振り返って言った。
「身包み剥がれたってことは無一文なんでしょ？まともに旅が出来るようになるまでうちにおいでよ」
「あー...」
確かに、そんな設定口走ったっけ。
「...」
もう説明と違うという点は置いとくとして、ここは主さんの霊力で作られた"虚像の世界"。
でも"虚像の世界"と言っても、ここは"嘘の世界"ではなく、本当の歴史を基に作られた...言わば現実世界の"写し"。だからこの世界も辿るのだ。
雪さん達が死ぬ、その運命を。
「...どうかした？」
目の前のこの少女...雪さんとその家族は、人喰い鬼によって命を奪われる。
そしてその鬼を倒した刀が...Aだと、兼さん達は言っていた。
...彼女と共にいれば、その先の未来でAに会える。
そうすればきっと、Aのことが分かるはずだ。
「ううん」
...まあ僕は、もう答えを見つけてしまったようなものだけど。
ここはその答えが正しいと証明するための、そしてその答えに辿り着くまでを知るための世界。
「何でもない。雪さんが良いなら...よろしくお願いします」
「じゃあ決まり」
＿ここは君が、生きている世界だ。
＊
＊
＊
「賑やかでしょ？」
「凄いね...」
森を抜けた先に広がる町を見渡す僕に、雪さんが笑いながら問うた。
つい先程までいた町も賑やかだったけれど、ここはそれ以上に活気に溢れている。その理由たる少し遠くに見える豪華絢爛な城が、ここが城下町であると無言で告げていた。
「...」
刀だった時...時雨さんが主だった時、僕は一度この景色を見ているはずだ。
なのに新鮮に見えてしまうのは、きっと僕が時雨さんに仕えた期間が一年にも満たないという短いものだからだろう。
それでも微かに感じる懐かしさが、確かに僕もかつてここにいたことを証明していた。
「あと八百屋に行くだけで買い物終わるから、もう少し付き合って」
「分かった」
荷物を確認しながらそう言った雪さんに僕が頷いた、その時。
「雪ちゃん!!!」
「「!?」」
鋭く彼女を呼ぶ声がすると同時に、彼女の懐に一人の幼い少年が飛び込んできた。
「助けて!!」
「どうしたの？」
ただならぬ様子の顔見知りらしいその少年に雪さんが問う。
「冬夜と真白が...！」
「...！」
そしてそう、己が家族の名が出た瞬間。
雪さんの瞳が鋭く輝った。
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不透明どろっぷ。(プロフ) - 前回のやつと今回で涙腺が緩んで戻らなくなってしまいました(号泣) とても凝った話ですね！ (2021年3月1日 22時) (
レス) id: a7e7752e52 (このIDを非表示/違反報告)
ニャンコソバ２(プロフ) - 狩歌さん» やったぁぁ!!楽しみにしてますねっっ!! (2019年4月21日 20時) (レス) id: 5238a033a3 (このIDを非表示/違反報告)
狩歌(プロフ) - ニャンコソバ２さん» ニャンコソバさんこんにちは！ありがとうございます〜！楽しんでいただけたなら幸いです(*´∀｀*)リクエスト了解しました！リア充させますよ〜！ (2019年4月21日 9時) (レス) id: 8b0337ee0c (このIDを非表示/違反報告)
狩歌(プロフ) - しおねーさん» ありがとうございます！もうしばしお待ちください〜 (2019年4月21日 9時) (レス) id: 8b0337ee0c (このIDを非表示/違反報告)
ニャンコソバ２(プロフ) - お、お疲れさまでした…(?)貯めに貯めて、一気に読みましたところ、涙腺が見事に崩壊しました。笑堀川くんとリア充するやつ見てみたいです( (2019年4月21日 8時) (レス) id: 5238a033a3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：狩歌 | 作成日時：2019年2月18日 19時
