俺は子供 ページ14
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「...俺はさ、」
その自分の声は、口の端から漏れるただの呻きのような声だった。
「...Aを刀解した方がいいって...思わなかったことがないわけじゃないんだ」
「...！」
「っ...千歳様...」
俺の言葉を聞いた木蓮とこんのすけが息を呑む。力を込めないと何かが溢れそうで、自分の拳をぐっと握り締めた。
「あいつが危険な刀だから、とか、そういうわけじゃない。...いや、結果的にはそうなっちまうのかも...しれないけど、でも...」
「...」
「本当はあいつが...不安定な存在だって解ってる...だから、」
ずっと、ずっと。
考えていた。
「...あいつにとって、"生きる"って、何だろうって」
「...」
あいつに身体と心を与えたのは俺で。
でもそれはあいつが望んだものではなかったと知って。
それからずっと考えていた。
このまま生き続けることがあいつにとっての救済になるのか。
それとも、与えたものを散らせることが救済になるのか。
「俺はここが好きだ。温かくて、心から笑っていられる、大好きな場所だ」
「...」
「...そして多分それはAにとっても同じで...でもあいつは、"好き"が募るほど不安定になっていく」
俺にとって、あいつにとって、ここはかけがえのない居場所なんだ。
失いたくない場所。手放したくない幸せ。
それが、ここにあるから。
「...俺は今の幸せを失いたくない。...霊力回復するの待てば多分...あいつらからこの騒動の記憶だって消せる。...俺なら出来る」
「千歳様、それは、」
「でも」
こんのすけの言葉を遮った。それは、こんのすけが言おうとしてることを俺が一番よく理解してるからだ。
「でもそれをやったら...それは、幸せを失いたくないって俺の、エゴになる」
「...」
「...それじゃあAは、きっと助けられない」
また繰り返すことになる。
後悔と懺悔と、そして願いを、誰にも気付かれないように隠して生きる日々を。
「...崩れそうな心に触れるのって大変なんだ。触れる人間、触れ方一つで全てが決まる。だから俺は、Aを助けるために慎重に行動してた...つもりだったけど...」
結果、こんなことになってしまって。
「どうすりゃいいんだよ...。俺、Aも皆も、失いたくねえよ...」
気づけば、頬を涙が伝っていた。
...ああ、これじゃあ俺をガキ扱いする木蓮の言葉を何一つ否定できねえじゃねえか。
無力で、無知で、何も出来ない。
俺は子供だ。
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不透明どろっぷ。(プロフ) - 前回のやつと今回で涙腺が緩んで戻らなくなってしまいました(号泣) とても凝った話ですね！ (2021年3月1日 22時) (
レス) id: a7e7752e52 (このIDを非表示/違反報告)
ニャンコソバ２(プロフ) - 狩歌さん» やったぁぁ!!楽しみにしてますねっっ!! (2019年4月21日 20時) (レス) id: 5238a033a3 (このIDを非表示/違反報告)
狩歌(プロフ) - ニャンコソバ２さん» ニャンコソバさんこんにちは！ありがとうございます〜！楽しんでいただけたなら幸いです(*´∀｀*)リクエスト了解しました！リア充させますよ〜！ (2019年4月21日 9時) (レス) id: 8b0337ee0c (このIDを非表示/違反報告)
狩歌(プロフ) - しおねーさん» ありがとうございます！もうしばしお待ちください〜 (2019年4月21日 9時) (レス) id: 8b0337ee0c (このIDを非表示/違反報告)
ニャンコソバ２(プロフ) - お、お疲れさまでした…(?)貯めに貯めて、一気に読みましたところ、涙腺が見事に崩壊しました。笑堀川くんとリア充するやつ見てみたいです( (2019年4月21日 8時) (レス) id: 5238a033a3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：狩歌 | 作成日時：2019年2月18日 19時
