凍てつき心に陽の光 ページ16
【千歳side】
『全員死ねばいいのに』
＿かつて、無慈悲なほどに凍りついた俺の心に触れた奴がいた。
そしてそいつも、心を凍らせていた。
俺と違ったのは、一目見ただけではそのことが分からない、という点。
陽だまりのように暖かく、柔らかい表面に隠した、氷のように冷え固まった心を持った奴だった。
別にそいつが冷酷な奴だという訳では無い。そいつ自身は春のように優しく暖かい奴だ。
ただ、心が凍っている。
それはあいつが、自分を責め続け、後悔しているからだ。
かつて俺はあいつに助けてもらって、だから俺もあいつを助けたいと思った。...でも。
触れられるのは俺じゃない。
助けられるのは俺じゃない。
だから今回、あいつを出陣させたんだ。
...少しでも、あいつが前を向けたなら。
もう、自分を責めなくていいように。
＊
＊
＊
「だってのに...んだよこれ...！」
鈴から放映された文字を睨みつける。ギリッと噛み締めた奥歯が鳴る音がした。
「何かあったのか、主」
ただならぬ俺の様子に山姥切が緊張を張った声で問うてきた。食堂に会した他の刀剣達も何事かと固唾を飲んでいる。
握り締めた拳に食い込んだ爪の痛みを感じながら、絞り出すように言葉を発した。
「...時間遡行軍が、俺や政府の監視網を突破して和泉守達がいる時代に出現しやがった」
「え...」
「...それってまずい、よね。俺達は千歳が感じ取る歴史の乱れをもとに出陣して戦うのがセオリーなのに...」
加州の言葉を皮切りに場にざわめきが走る。でも...
「でも、戦闘にはなってない」
「...どういうことだ？」
三日月のもっともな問いかけに、俺は自分にこの珍現象を理解させる意味も含めて答えた。
「敵はあいつらが出陣した町の隣町に現れたらしいんだが、三日に一度の遡行を何度か繰り返し、夜に森や林に単体で潜むようにいるだけで攻撃はしてきてないらしい」
「なんだそれ...」
「じゃあ、ひとまずれきしは、みんなはだいじょうぶってことですか？」
不安げに俺を見上げる今剣に黙り込んでしまう。
「...」
歴史は...
【Aさんが、真白さんと冬夜さんに接触しました。】
「っ、」
「主？...まさか、」
「...歴史は...僅かにだが変わってる」
「なっ...！」
緊張がその場の全員に走る。
...審神者である俺がしっかりしてないと駄目だ。
「大丈夫だ」
全部、守る。
あの日、そう決めたんだ。
.
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狩歌(プロフ) - 作者さん» 私も作者さんのコメントで大泣きしました。ありがとうございます...！！ (2020年2月14日 8時) (
レス) id: 8b0337ee0c (このIDを非表示/違反報告)
作者 - 大泣きした…もうやばい…語彙力低下した… (2020年2月14日 1時) (レス) id: 514b4bbba8 (このIDを非表示/違反報告)
狩歌(プロフ) - かふぇいんさん» 告白されちった(違う)。そんなこと言っていただけて感無量です。ありがとうございます！リクエスト了解しました！もうしばしお待ちください！ (2019年2月10日 22時) (レス) id: 8b0337ee0c (このIDを非表示/違反報告)
かふぇいん(プロフ) - 連続でコメントすみません…！夢主ちゃんの質問コーナーみたいな茶番が見たいです。ぜひお願いします！ (2019年2月10日 22時) (レス) id: 67bbfad4af (このIDを非表示/違反報告)
かふぇいん(プロフ) - すき。すきです。すきしかでてこないです。これからも心から応援してますッ…！ (2019年2月10日 22時) (レス) id: 67bbfad4af (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：狩歌 | 作成日時：2018年12月28日 13時
