叢雲の心魂 ページ2
【Aside】
ふっと解けた圧迫感に、ゆっくりと目を開ける。
周りを囲む森、眼下に広がる町並みに、
ああ、とうとう来たんだって。
「...」
ぎゅっと潰されそうな心臓に、町の中に決して会ってはいけない"彼ら"を探してしまう。
そんな中和泉守の指示の声が聞こえた。
...駄目だ、今は出陣に集中しないと。
千歳をしっかり安心させないとだめだ。
これ以上迷惑かけては駄目だ。
「集合は未刻半、街で合流だ。行くぞ！」
その声と同時に駆け出す。
一瞥した町の中に、遠い遠い夢を見た気がした。
＊
＊
＊
「A」
崖を降り、木を伝って町へ行こうと踏み出したとき、低く落ち着きのある声に名前を呼ばれた。
それに振り返ると予想通り、あのニキスマイルを浮かべた薬研が立っていた。
予想外なのはその頭にこんのすけを乗せていたことだが。
「相変わらずけしからん御御足だな羨ましい」
「...褒め言葉として受け取っておく」
あまりの美しさに〈●〉〈●〉←もうこんなになって薬研の脚に視線を注いでそう零した私に、薬研は苦笑しながらそう言った。
こんのすけそんな冷めた目で見ないの。油揚げ私が横取りするよ。
...まあそれは置いといて。
「どうしたの？各自聞き込みするじゃないの？」
「ああ、そのことでな」
それぞれ散ったはずなのに何だと問うた私に、薬研はくいと自分が来た道を親指で指し示しながら言った。
「向こうは他の旦那方が行ったからな。俺っちはこっち方面に来ようと思って」
どうせだからご一緒しねえか？と続けた薬研。うっ、そのスマイルは...！
「ご一緒する...！」
眩しい。後光が差してる。眩しい。
「じゃ、決まりだな」
そう言って歩き出す薬研のあとをついていく。
いやしかし、短刀のくせになんで彼はこんなに男前というか「ついて行きます兄貴！」と言いたくなる奴なんだろうか。
薬研の背中を見ながらそんなことを考え込んでいると、ふいに薬研が振り返る。
「...？」
「その様子じゃ大丈夫みたいだな」
そして発された言葉の真意が分からず首を捻ると、彼が指先で私の額を弾きながら言った。
「ここの皺が寄ってるように見えたからな。あんま緊張しなさんな」
「...！」
笑いかける薬研にはは、と内心冷や汗が下る。
...そんな外に出てたのか、私は。
「...了解」
らしくないと零れるのは、ただの自嘲だ。
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狩歌(プロフ) - 作者さん» 私も作者さんのコメントで大泣きしました。ありがとうございます...！！ (2020年2月14日 8時) (
レス) id: 8b0337ee0c (このIDを非表示/違反報告)
作者 - 大泣きした…もうやばい…語彙力低下した… (2020年2月14日 1時) (レス) id: 514b4bbba8 (このIDを非表示/違反報告)
狩歌(プロフ) - かふぇいんさん» 告白されちった(違う)。そんなこと言っていただけて感無量です。ありがとうございます！リクエスト了解しました！もうしばしお待ちください！ (2019年2月10日 22時) (レス) id: 8b0337ee0c (このIDを非表示/違反報告)
かふぇいん(プロフ) - 連続でコメントすみません…！夢主ちゃんの質問コーナーみたいな茶番が見たいです。ぜひお願いします！ (2019年2月10日 22時) (レス) id: 67bbfad4af (このIDを非表示/違反報告)
かふぇいん(プロフ) - すき。すきです。すきしかでてこないです。これからも心から応援してますッ…！ (2019年2月10日 22時) (レス) id: 67bbfad4af (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：狩歌 | 作成日時：2018年12月28日 13時
