静寂の襲撃 ページ4
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「こんちゃんだってエキノコックス持ってるくせに」
「それは習性じゃなくて病気ですから!大体あれは動物の狐が持ってるものでしょう!僕は管狐です!!」
ぷんすこと顔を赤くして怒るこんのすけだけど、やっぱり可愛さが増すだけだ。もふもふと小動物のコンボってすごい。
「そんな怒んないでこんちゃん。ほら、仕事しよう」
「Aさんのせいですー!」
「仕方ない。帰ったら油揚げあげるから、ね?」
そう言うと少し機嫌を直したのか、絶対ですよ!と念押ししながら首に巻かれた鈴を鳴らす。するとその鈴からヴンと音を立てて、私が聞き込みをしている間にこんのすけが調べたらしいデータが放映された。
相変わらずハイテクだよなぁあの鈴。今度一回解体させてほしい。
そんなことを思いながら、データ整理をするこんのすけを見やる。すっかり仕事モードだ。
つまりこれでやっと私の話から離れることができた訳だが、思っ苦しい空気と僅かに走る緊張感というのは変わることなかった。
...まあそりゃそうだ。
聞き込みで、"あんな情報"を聞いてしまったら。
「しかもそれが一人だけじゃないときた。これはねぇ...」
「悪い、待たせたな」
ぽつりと呟いた瞬間、私の隣にすとんと軽やかな音を立てて薬研が着地した。
その端正な顔には疲れを含んだ苦笑が浮かんでいる。
「...薬研のその反応見ると、聞き込み結果はこっちと同じみたいだね」
「やっぱりAの方もか...」
苦虫を噛み潰したような顔をする薬研に、私も思わず苦笑しながら言った。
「聞き込み結果、"最近何か変わったことはないか"って聞いたら、皆が皆、口を揃えて言うんでしょ。
__"鬼が出た"って」
「ああ」
薬研はがしがしと頭掻くと、どすんとその場に座り込む。そしてほんの僅かに希望を滲ませた声を落とした。
「その鬼ってのは...」
「残念ながら裏取れちゃったよ」
ほら、とこんのすけが放映しているデータを示す。
何枚も重なり合うようにして出現しているその画像はどれも夜のもので、そしてそのどれもに、映っていてほしくないものが映っていたのだ。
「時間遡行軍、だな...」
画像を睨みつけそう零した薬研に頷く。
短刀から大太刀まで、夜闇に紛れた時間遡行軍がそこには映っていたのだ。
「時空の乱れは観測しても、出現したって情報はなかった。政府や大将の目をかいくぐるとは、一体どうやって...」
薬研の言葉に冷や汗が伝った。
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狩歌(プロフ) - 作者さん» 私も作者さんのコメントで大泣きしました。ありがとうございます...!! (2020年2月14日 8時) (レス) id: 8b0337ee0c (このIDを非表示/違反報告)
作者 - 大泣きした…もうやばい…語彙力低下した… (2020年2月14日 1時) (レス) id: 514b4bbba8 (このIDを非表示/違反報告)
狩歌(プロフ) - かふぇいんさん» 告白されちった(違う)。そんなこと言っていただけて感無量です。ありがとうございます!リクエスト了解しました!もうしばしお待ちください! (2019年2月10日 22時) (レス) id: 8b0337ee0c (このIDを非表示/違反報告)
かふぇいん(プロフ) - 連続でコメントすみません…!夢主ちゃんの質問コーナーみたいな茶番が見たいです。ぜひお願いします! (2019年2月10日 22時) (レス) id: 67bbfad4af (このIDを非表示/違反報告)
かふぇいん(プロフ) - すき。すきです。すきしかでてこないです。これからも心から応援してますッ…! (2019年2月10日 22時) (レス) id: 67bbfad4af (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:狩歌 | 作成日時:2018年12月28日 13時