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「初めまして。伊沢拓司です。」
目の前に出された左手。
動揺せずに掴めただろうか。
「高瀬Aです。よろしくお願いします。」
そこからは大好きな映画のように時間が過ぎていった。
この日にはここで働かせてもらうことが決まって。
得意な小説についての記事を書いてみることになった。
猶予は2週間。
題材はなんでも良いということ。
お世話になった先生や大好きな作家さんの作品を借りて比喩のクイズにしようかな。
古典作品を持ってきて古語や歌についてのクイズにしようかな。
想像が拡がって仕方がなかった。
その日は動画に出てらっしゃる河村さん、山本さんと渡辺さんが居て、挨拶をした。
近寄り難いかなって感じた河村さんでも
お話をさせてもらうとテンポが良くて、面白くて。
動画のコメント欄でファンの方が言っていた『神』という表現がしっくりと来る方だった。
渡辺さんには
「呼ばれ慣れてないからこうちゃんって呼んで!」
って目が眩むような笑顔で言われてしまった。
こうちゃんさんでも納得して貰えなかったから、こうちゃんと。
可愛さ、あざとさを滲ませていた山本さんはイメージ通りで。
距離の詰め方が上手くて、早くて、私にしては動揺していたねと、舞に言われてしまう始末。
「QuizKnockで働いたらAの感情も
もっと出るようになりそうだね」
帰りには心底楽しそうな舞の顔が見れた。
「舞は私に感情を出して欲しい?」
「どっちでもいいかも。私は慣れちゃったからさ。」
私と正反対の彼女。
表情が空みたいによく変わる。
なんだかんだ言ってこの子といるのが1番楽で心地いいんだ。
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作者名:ゆら | 作成日時:2020年9月1日 22時