うちおとしたい【ダンガンロンパ】 (ページ4)

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さっきもリコルヌを探しながらトリプルゼロクラスの人たちの棚まで行ったけど、確かにリコルヌなんて名前は無かったはずだ。
龍造寺月下という顔のつくりがはっきりとした男の人と、「法執行官」というかっこいい二つ名がついているジョニィ・アープさん。
それと、正体不明の探偵、御鏡霊。
Ghost in the miror なんて呼ばれてるって記事を、どこかで見た気がする。

黙々と、棚の合間を歩く。

この人たちは、全員が本当に探偵なのだろうか。

。

「こんにちは」

私は目の前にいる男の子を見て、2度、瞬きをした。
彼は、リコルヌだ。
だけど、昔とはどこかが違う気がした。でも彼の纏っている神秘的な雰囲気は、この場所にすごく相応しい。

感動の再会だと喜び合うような柄でもないけど、また会えて良かったと思った。
私は、リコルヌが死んでしまったとでも思っていたのだろうか。

なにか喋らなければいけないけど、なにも喋ることができなくて、

考えて、考えて

やっと出てきたのは、

『……夢、叶いそう？』

という、何ともつまらない言葉だった。

「謎解きもできていますし、この調子だと宇宙について学ぶこともできそうです」

彼は、とても年相応とは言えない、おとなびた笑顔を見せる。

折角会えたのに、会話が続かないもどかしさ。
昔はこうじゃなかった。

久しぶりに会った友人とは、緊張で大した会話ができないものだろう。
だけど、私が彼に感じているのは、恐怖だ。

あの時よりも断然奇麗になっている彼に、私だけおいて行かれているようで。

『リコ』

長らく呼んでいなかった名前を呼ぶ。
彼は、なんですか？とでも言う表情でこちらを見つめている。

『………大好き』

なにか、言いたかった。
君の虚を突くような言葉を。
私の言葉で、君の感情を揺さぶれたらどんなにいいか。

「僕もですよ、」
なんて。

「そろそろ行きますね、ではまた」

いつの間にか私は、1人で立っていた。

今までのすべてが、夢みたいだった。

なんとなく、御鏡霊のファイルを開く。

彼は、どこから来て、どこへ帰るのだろう。
誰も、それを知らない。

でもたぶん、また会えるよね。