4.フォロー ページ11
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「_それでは、素晴らしいパフォーマンスありがとうございました！」
『ありがとうございました〜！』
歓声に包まれながら、いそいそとスタジオを後にする。
今日は音楽番組に生出演した。昨日タキオンに会えたからか、歌もダンスもすこぶる調子が良かった。
「なんか今日機嫌いいね」
『今日は歌もダンスもいい感じだったなって』
「確かに。あの高音生歌でぶれないのはすごい」
『ふふふ、だよね。もっと褒めて』
思わずニヤニヤしながら、上機嫌で楽屋に戻る。
タキオン、私達のステージ見てくれたかな。いや、そもそも音楽番組とか見るのかな。でも、もしかしたら…。
ソワソワと淡い期待を抱きながら、扉を開ける。
楽屋に入るなりスマホを取り出して、ウマスタに載せる写真を撮影する。
「いつも出番終わったらクタクタなのに、今日はやけに元気だねえ」
『え、ああ、そうかも。昨日美味しいもの食べたから…』
「いいな〜！ 私なんて最近太っちゃって、3食サラダ三昧だよ」
『あはは、ダイエット終わったら焼肉でも行こっか？』
「悪魔…！」
メンバーと他愛のない会話をしながら、文字を入力していく。
"久々の音楽番組楽しかった〜！！ みんな見てくれた？ 帰ったらいっぱいエゴサするから、感想たくさん書いてくださいね(◍˃ ᵕ ˂◍)"
自撮りを添えて投稿すれば、すぐさまウマいね！ やコメントがつく。
さっき出番が終わったばかりなのに、SNSには既に私達を賞賛するコメントが溢れかえっている。
スクロールしながら通知を読み進めていくうちに、私が期待していた文字列が目に留まった。
【tachyon_a があなたをフォローしました。】
【tachyon_a、fan1 他があなたの投稿に「ウマいね！」しました。】
タキオンだ！
嬉しくなって、足をバタバタと動かしながらフォローバックする。
前からタキオンのアカウントを見つけてはいたけれど、何の脈絡もなくフォローするのが恥ずかしくて、そのままにしていた。
まさかタキオンからフォローしてくれるだなんて。
tachyon_a お疲れ様。すごく良かったよ
時間差で届いたメッセージに、今度は思わず変な声が出た。
驚いて私のほうを見るメンバーに、ごめんごめんと声をかける。
タキオンともっと仲良くなりたい。また二人で会えるかな。
今夜はいい夢が見れそうだ。
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作者名：winter | 作成日時：2022年11月6日 9時
